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(→進化史) |
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1969年、アメリカ合衆国がアポロ計画の完成としてアポロ11号を打ち上げる際、数十匹のトンデヒニイツノムシがアポロ11号司令船船内の保管庫に紛れ込んだ。アポロ11号はサターンV型ロケットに搭載され、NASAが有するロケットの打ち上げ施設であるケネディ宇宙センターにおいて地球を離れたが、これらのトンデヒニイツノムシはNASAの何らかの輸送手段に侵入して、ジョンソン宇宙センターからケネディ宇宙センターに直接移動したと見られている。これらのトンデヒニイツノムシの中には、ジョンソン宇宙センターの環境下で異常な耐久性を獲得した個体が複数存在した。このために当該集団の一部は宇宙空間への適応に成功し、人類初の月面着陸が成功裡に終わった背後で、何らかの経路によって司令船を脱出、月面に降下して、そのまま月面に定着することができたとされる。この集団は月面に放置されたゴルフボールや旗といった繊維質の記念品はもちろん、変異した食性によって宇宙船の破棄された部品や月面探査機のデブリなどまで捕食するようになり、特に後者の食物の定期的な供給によって安定的な繁殖を可能とした。こうして、トンデヒニイツノムシの月面に分布する地理的品種である、'''トンデヒニイルナツノムシ''' (英: Tondenheinuit '''luna''' weevil) という亜種が登場した。トンデヒニイルナツノムシは生命の存在しない月面環境で完全な優位を得<ref>[https://ja.wikipedia.org/wiki/月面のクマムシ クマムシの群れが突如やって来たこと]もあったが、<ruby>乾眠<rt>ねむ</rt></ruby>っている隙に残らず捕食し絶滅させて難を逃れたという。[[筋トレするクマムシ|筋トレ]]しないクマムシの物理攻撃への弱さがはっきり出た形となった。</ref>、最終的に月面全土に分布するようになったが、探査機の映像技術で捕捉できないサイズだった<ref>トンデヒニイルナツノムシの体長はトンデヒニイツノムシよりもさらに小さくなり、前述の通り0.7~1.5mmに落ち着いていた。</ref>ことや、月面の岩石を回収するローバー等も本能的に避けていたために、地球に持ち帰られるサンプルに混入することも無かったことから、人類は月面に降りることをしなかった半世紀の間、この亜種の存在に気が付くことはなかった。 | 1969年、アメリカ合衆国がアポロ計画の完成としてアポロ11号を打ち上げる際、数十匹のトンデヒニイツノムシがアポロ11号司令船船内の保管庫に紛れ込んだ。アポロ11号はサターンV型ロケットに搭載され、NASAが有するロケットの打ち上げ施設であるケネディ宇宙センターにおいて地球を離れたが、これらのトンデヒニイツノムシはNASAの何らかの輸送手段に侵入して、ジョンソン宇宙センターからケネディ宇宙センターに直接移動したと見られている。これらのトンデヒニイツノムシの中には、ジョンソン宇宙センターの環境下で異常な耐久性を獲得した個体が複数存在した。このために当該集団の一部は宇宙空間への適応に成功し、人類初の月面着陸が成功裡に終わった背後で、何らかの経路によって司令船を脱出、月面に降下して、そのまま月面に定着することができたとされる。この集団は月面に放置されたゴルフボールや旗といった繊維質の記念品はもちろん、変異した食性によって宇宙船の破棄された部品や月面探査機のデブリなどまで捕食するようになり、特に後者の食物の定期的な供給によって安定的な繁殖を可能とした。こうして、トンデヒニイツノムシの月面に分布する地理的品種である、'''トンデヒニイルナツノムシ''' (英: Tondenheinuit '''luna''' weevil) という亜種が登場した。トンデヒニイルナツノムシは生命の存在しない月面環境で完全な優位を得<ref>[https://ja.wikipedia.org/wiki/月面のクマムシ クマムシの群れが突如やって来たこと]もあったが、<ruby>乾眠<rt>ねむ</rt></ruby>っている隙に残らず捕食し絶滅させて難を逃れたという。[[筋トレするクマムシ|筋トレ]]しないクマムシの物理攻撃への弱さがはっきり出た形となった。</ref>、最終的に月面全土に分布するようになったが、探査機の映像技術で捕捉できないサイズだった<ref>トンデヒニイルナツノムシの体長はトンデヒニイツノムシよりもさらに小さくなり、前述の通り0.7~1.5mmに落ち着いていた。</ref>ことや、月面の岩石を回収するローバー等も本能的に避けていたために、地球に持ち帰られるサンプルに混入することも無かったことから、人類は月面に降りることをしなかった半世紀の間、この亜種の存在に気が付くことはなかった。 | ||
=== | ===ボーナスステージ・地球=== | ||
2027年、アポロ計画以来の有人月面着陸計画である[https://ja.wikipedia.org/wiki/アルテミス計画 アルテミス計画]の大詰めとしてアルテミス3号が打ち上げられ、1972年のアポロ17号による調査以来55年ぶりの月面有人探査が行われると、トンデヒニイルナツノムシの存在が初めて確認された。この報告は、初めての地球外生命体の発見として地球上にセンセーショナルな反応を巻き起こした。アルテミス3号は15匹のトンデヒニイルナツノムシを生きたまま採取して地球に持ち帰ったが、その金属食性が知られていなかったために、船員らはこれらのトンデヒニイルナツノムシを地学的試料を入れるための金属製カプセルの予備の中で保管してしまった。地球に帰還した船員たちがカプセルを確認すると、トンデヒニイルナツノムシはみな既にカプセルを食い破って脱走していたという。昼は110℃、夜は-170℃という月面の過酷な環境に適応していたトンデヒニイルナツノムシは瞬く間に地球環境の中で侵略的外来種として大繁殖し、再び捕捉される頃には既に地球環境からの完全な除去が不可能な状況になっていた。トンデヒニイルナツノムシは地球の生態系を塗り替え、少なくとも212種の生物種を絶滅させたほか、人類にも未曽有の規模の食害被害をもたらした。トンデヒニイルナツノムシは文明社会の衣食住の供給全てに大きな打撃を与え、人類を飢餓に陥れ、社会活動を停止させた。この結果、世界人口はトンデヒニイルナツノムシ飛来前の2/3にまで落ち込んだとされる。 | 2027年、アポロ計画以来の有人月面着陸計画である[https://ja.wikipedia.org/wiki/アルテミス計画 アルテミス計画]の大詰めとしてアルテミス3号が打ち上げられ、1972年のアポロ17号による調査以来55年ぶりの月面有人探査が行われると、トンデヒニイルナツノムシの存在が初めて確認された。この報告は、初めての地球外生命体の発見として地球上にセンセーショナルな反応を巻き起こした。アルテミス3号は15匹のトンデヒニイルナツノムシを生きたまま採取して地球に持ち帰ったが、その金属食性が知られていなかったために、船員らはこれらのトンデヒニイルナツノムシを地学的試料を入れるための金属製カプセルの予備の中で保管してしまった。地球に帰還した船員たちがカプセルを確認すると、トンデヒニイルナツノムシはみな既にカプセルを食い破って脱走していたという。昼は110℃、夜は-170℃という月面の過酷な環境に適応していたトンデヒニイルナツノムシは瞬く間に地球環境の中で侵略的外来種として大繁殖し、再び捕捉される頃には既に地球環境からの完全な除去が不可能な状況になっていた。トンデヒニイルナツノムシは地球の生態系を塗り替え、少なくとも212種の生物種を絶滅させたほか、人類にも未曽有の規模の食害被害をもたらした。トンデヒニイルナツノムシは文明社会の衣食住の供給全てに大きな打撃を与え、人類を飢餓に陥れ、社会活動を停止させた。この結果、世界人口はトンデヒニイルナツノムシ飛来前の2/3にまで落ち込んだとされる。 | ||
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