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シンジツノクチ
分類

界:動物界
門:棘皮動物門
綱:ウニ綱
目:タコノマクラ目
属:シンジツノクチ属
科:シンジツノクチ科
種:シンジツノクチ

保全状況評価
Least Concern
生息年代
現代
分布状況
世界中
学名
O.Veritas
和名
シンジツノクチ
英名
The Mouse of the Truth

シンジツノクチ(:The Mouth of the Truth、:死无児吊飲工血)とは、タコノマクラ目シンジツノクチ属シンジツノクチ科の棘皮動物である。世界中に生息し、人間を捕食することで知られている。

生態

形態

体長は150cm~300cmほど。体重は1000kg~5000kgとされている。体は非常に硬く、耐衝撃性・耐火性に優れている。円形であり、その中央にいくつかの器官がある。なお、シンジツノクチの裏側がどうなっているのかはわかっていない。

シンジツノクチの体の中央には、目と鼻と口のような器官があることが視認できる。しかし、目と鼻のように見える器官はホルモンの分泌孔だという説が有力である。

口は獲物を捕食するのに使う。歯は無いが、顎はとても頑丈である。捕食行動については、後で詳述する。

体が口を中心に放射状の形をしていること、頭部が存在しないこと、硬い外殻を持つことなどから、シンジツノクチは棘皮動物と考えられている。しかし、シンジツノクチの研究はほとんど進んでおらず、分類も確言はできないのが現状である。

行動

シンジツノクチは人間を捕食する。人間以外の動物を捕食する様子は確認されていない。なお、「シンジツノクチに食われるのは嘘つきだけだ」とも言われるが、これは間違いである。

また、移動、生殖、排泄などの捕食行動以外のシンジツノクチの行動は確認されていない。そのため、どうやって子孫を残しているのかは不明である。それについて、約400年生きている個体もいることから、シンジツノクチはとても長いスパンで世代交代する生物であり、近現代はたまたま世代の中間に位置しているのだという説もある[1]。一方、シンジツノクチの研究自体がほとんど行われておらず、シンジツノクチのそれらの行動を人類が単に観測していないだけという説もある。

シンジツノクチは前述の通り人間を捕食する。その際、まずシンジツノクチは目と鼻のように見える分泌孔から特有のホルモンを分泌する。このホルモンが人間の体内に取り込まれると、それはすぐに中枢神経に到達し、人間に「シンジツノクチの口に手を入れたい」と感じさせる。その時すでに襲われた人間は自我を失っており、ホルモンによって起こされた衝動に抗うことは不可能である。こうして人間はシンジツノクチの口に手を差し込んでしまう。するとシンジツノクチは頑強な顎でその手を噛み砕き、捕食を始める。シンジツノクチは人間を手繰り寄せるように食べていく。手、腕、肩、頭、もう一方の腕、胴、脚という順に摂食していき、最終的には人の体全体を食べてしまう。

歴史

発見

1632年、イタリアのサンタ・マリア・イン・コスメディン教会でシンジツノクチが初めて発見された。その個体はザ・ファーストと呼ばれており、シンジツノクチの中でも最も有名で且つ最も危険な個体とされている。なお、ザ・ファーストは今でも生存している。

新聞記者捕食事件

ザ・ファーストの発見以後、イタリア政府は強力な情報統制によりその存在をひた隠しにしていた。この脅威が世界に広まれば、人々がパニックに陥ることは不可避と考えられていたためである。ザ・ファーストによって度々人が犠牲になったが、イタリア政府はそれらも隠蔽し続けた。

しかし1953年、あるアメリカ人新聞記者がその危険性を知らずにザ・ファーストに近づいてしまい、捕食されてしまう。イタリア政府はこの事件も隠蔽しようとしたが、その前に事件に居合わせた某国の王族が情報を拡散してしまい、ザ・ファーストの脅威が世界中に広まった。

この事件以前では、シンジツノクチはザ・ファースト1体のみと考えられていた。しかし、ザ・ファーストの情報の周知をきっかけに、世界中で同様の個体が次々と確認され、「シンジツノクチ」という種であることが発覚した[2]。そして同時に犠牲者数も飛躍的に増えていった。シンジツノクチの分泌するホルモンは風に乗れば10km離れた人にも効果を及ぼし、何者にもシンジツノクチの殺戮を止めることはできなかった。

特にザ・ファーストのいるイタリアでの被害は甚大で、約5000万人だった人口は約1200万人にまで減った。ザ・ファーストはイタリアの首都ローマにいたことから、イタリアの行政やインフラはストップした。暫定政府をナポリ、次いでフィレンツェに置くなどしたが、各地に出現したシンジツノクチによる捕食は続き、1958年には完全に国は崩壊した。

イタリアだけでなく、アメリカやイギリス、ロシア、日本などの大国も相次いで崩壊した。人類は何もできないまま、シンジツノクチによる犠牲は膨れ上がっていった。

ザ・ファースト駆除作戦

1970年時点でシンジツノクチによって人類の人口は10億人まで減少した。どうにかこの状況を打破しようと、1972年、イタリアの隣国フランスがザ・ファースト駆除作戦を敢行した。ローマへ陸軍を派遣し、ザ・ファーストを駆除するという作戦である。シンジツノクチを攻撃する試みはこれが初めてであった。

6月17日、フランス陸軍第一機甲師団210名がローマに向けて軍用車で出発した。しかし、当時シンジツノクチの捕食システムにホルモンが関わっていることは知られておらず、それに対する防御はなされていなかった。「急にある地域の人々が皆意識を失ってシンジツノクチの方へ向かっていき、捕食される」という認識しかなかった。なぜある場所で一気に犠牲者が増えるかは分かっていなかったが、経験則的に犠牲の多く出た地域から離れるべきであることは知られていた。そのため、彼らは3名ずつの70グループに分かれ、それぞれと距離を取りながら進軍した。6時間ごとに連絡を取り合い、連絡が途絶えたグループの方向からはできるだけ離れ、犠牲を少なくする作戦だった。

6月30日、53グループがイタリア領に入り、7月11日、14グループがフィレンツェに到達したというフランス本土との通信記録が残っている。本土との通信はこれで途絶えており、そこからローマまでの道のりに何があったのかの記録は残っていない。

作戦から32年後の2004年、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会から800mほど離れた廃墟で、第一機甲師団の兵士の肉声が録音されたテープレコーダーが発見された。その音声には当時の様子の説明などが含まれていた。以下に、その一部を抜粋する[3]

[前略]
ハァ・・・ハァ・・・、こちらはフランス陸軍第一機甲師団一等兵ヴィクター・マルタン・・・奴のいる教会の近くだ(雑音)かもしれねぇ(雑音)しか、生きてねぇ、畜生!・・・畜生!
[中略]
(荒い息遣い)見てろ化け物め! (別の声)やるんですか? (ヴィクターの声)もちろんだ愚図野郎! 死んだ同胞のためにも! (二回の銃声)くそっ、くそっ! (さらに三回の銃声)(荒い息遣い)
(雑音)(先ほどのヴィクターでない兵士の声)ついてくださ(雑音)
(ヴィクターの声)撃て撃て撃てえ! (複数の銃声)当たったぞ! 当たってるぞ! (二人の荒い息遣い)(複数の銃声)
(ヴィクターの声)なぜだ、な(雑音)ずついてない! くそっ! くそっ! くそっ! このぼ(雑音)
(荒い息遣い)に、逃げるぞ! 撤退だマルコ! おい! マルコ! おい・・・しまっ、風向きが! う(雑音)
[後略]


帰還した兵はおらず、ザ・ファースト駆除作戦は失敗に終わった。

防護服の発明

ザ・ファースト駆除作戦の失敗後、シンジツノクチによる人口減少はなお続き、1978年には人口は6億人にまで減った。しかしその年、ドイツ人科学者オトマール・ブラウンが、シンジツノクチは気体を分泌して人間を操っているという気体説を唱えた。この説を受け、世界中の科学者や技術者が気密性の高い防護服の開発に乗り出した。

シンジツノクチの殺戮によって人類の科学の進歩は大きく遅れたとされているが、1980年には30分人間が活動できる防護服が開発された。活動可能時間は防護服の改良によって延びていき、1995年には4時間まで活動できるようになった。

その頃から防護服を用いた調査が行われるようになり、シンジツノクチの生態が徐々に明らかになっていった。また、シンジツノクチはとても硬い外殻を持っており、銃や火薬での攻撃が効かないことも明らかになった。そこで、核兵器の使用が検討された。第二次世界大戦において使われたものと同等の威力の核弾頭なら、シンジツノクチを駆除できるのではないかと考えたのだ。

しかし、核兵器を扱う施設は長年放置されたために使えなくなっており、さらにシンジツノクチによる大量死は続き、核兵器の製造は難航を極めた。

また、2004年にはザ・ファーストの調査が行われ、1972年のザ・ファースト駆除作戦の録音テープを発見、解析が行われた。

ニーケー作戦

2011年10月、パキスタンのチャガイ地区で人類は遂に核弾頭の再製造に成功した。その核爆弾のコードネームはトール。トールはインドのデリーに生息しているシンジツノクチの個体「シヴァ[4]」に向けて発射されることとなった。この作戦はギリシア神話の勝利の神の名を取り、ニーケー作戦と名付けられた。

そして同年11月7日、ニーケー作戦が実行され、核ミサイルがデリーに着弾、爆発。ニーケー作戦は計画通りに遂行された。しかし、人類は放射線に耐えうる装備を現在でも開発できておらず、シヴァの生死は今でも分かっていない。

現在

2021年現在、世界の人口は2億人となっている。生存者の多くはコミュニティと呼ばれる小規模な集落単位で暮らしている。地下に都市を作るもの、既存の建物を密閉しその中に住むものなどがいる。家畜も飼い、食物としている。しかし、十分な水や食べ物を得るにはどうしても外に出る必要があり、数名が1か月に1度くらいの頻度で外へ調達に向かう。その時にシンジツノクチに食われる可能性はもちろんあり、戦々恐々と暮らさねばならないのが現状だ。しかし、ブルネイのコミュニティで、室内で野菜などを育て、収穫する技術が確立されたという情報がある。この技術が世界中に広まれば、人類の生存の可能性がまた上がるとして、期待が高まっている。

コミュニティ同士は無線で連絡を取り合っている。シンジツノクチのホルモンの侵入を防いでいるがゆえに、電波も入りづらいが、調達の日などに無線を飛ばしてみるのだ。他の生存者と繋がったときの嬉しさったらない。前述したブルネイの情報もこうして得たものである。

一部の勇敢な人々は、建物に閉じこもり、研究開発を続けている。部品等の調達も難しいし、シンジツノクチに食われる可能性も高まる。何か発見できたとしても、それを他のコミュニティに伝えることはなかなかできない。それでもいつの日か人類が新鮮な空気を吸って生きていけるように、研究に励んでくれているんだ。

その甲斐あって今年の9月には第二の核弾頭がソマリアで完成して、マグニと名付けられた。たった一発に10年かかっている。でも、確実に人類は前へ進んでいる。マグニをローマに撃ち込みザ・ファーストを駆除するウィクトーリア作戦が今計画されている。また、放射線の防護服の開発も進み、2023年にはデリーの調査が予定されている。ニーケー作戦の勝敗、すなわち核兵器による攻撃がシンジツノクチに有効かどうかが、人類の絶滅を防げるかに大きく関わってくるだろう。

効くかも分からない兵器の開発に喜んでいて、可笑しいかもな。でも、信じたいんだ。人類は勝って、生き残れるって。

脚注

  1. この説によれば、シンジツノクチは有史以前から存在し、人間以外の動物を捕食していたとされる。
  2. 元からいたシンジツノクチが発見されたのか、シンジツノクチが新たに出現したのかは定かでない。
  3. WikiWikiリファレンス/ザ・ファースト駆除作戦音声記録も参照。
  4. この個体はインドを壊滅させた個体で、1億5000万人を捕食したと推定されている。