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<br>「まあ、{{傍点|文章=森さんがどこを刺されたか知らない}}ので、何とも言えないですけど」 | <br>「まあ、{{傍点|文章=森さんがどこを刺されたか知らない}}ので、何とも言えないですけど」 | ||
<br> 危なかった……。{{傍点|文章=実際俺は森をそのような体勢で殺している}}。{{傍点|文章=これでは}}、{{傍点|文章=現場の状況を知っていますよ}}、{{傍点|文章=と言っているようなもの}}じゃないか。 | <br> 危なかった……。{{傍点|文章=実際俺は森をそのような体勢で殺している}}。{{傍点|文章=これでは}}、{{傍点|文章=現場の状況を知っていますよ}}、{{傍点|文章=と言っているようなもの}}じゃないか。 | ||
<br> | <br> 余計なことは言わないようにせねば。俺が動揺する中、警部補はまた口を開いた。 | ||
<br> | <br>「右の肋の下、肝臓の辺りを一突きでしたよ。だから、川上さんの仰るようなこともあり得る。確かに、これだけで決めつけるのは早計でしょうな」 | ||
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<br>「{{傍点|文章=木刀です}}」 | <br>「{{傍点|文章=木刀です}}」 | ||
<br> 木刀? どこかで聞いたような……。 | <br> 木刀? どこかで聞いたような……。 | ||
<br> | <br> 瞬間、雷のように衝撃が走った。確か、森は「木刀は{{傍点|文章=まだ持ってます}}」と言っていた。なら、どこにあったのだ? 傘立て? いやそんなもの無かった。待て、そもそも木刀をなぜ持っていたんだ? | ||
<br> ふと、答えがよぎる。簡単なことだ。 | <br> ふと、答えがよぎる。簡単なことだ。 | ||
<br> ── {{傍点|文章=護身用}}。 | <br> ── {{傍点|文章=護身用}}。 | ||
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<br> ギリリと奥歯が鳴った。気づいていないのか、警部補は饒舌に喋り続ける。 | <br> ギリリと奥歯が鳴った。気づいていないのか、警部補は饒舌に喋り続ける。 | ||
<br>「森さんの寝室、ベッドの脇に、恐らく護身用の木刀が置かれていたんです。おかしいですよね? {{傍点|文章=不審な音で目覚め}}、{{傍点|文章=様子を見に行くなら}}、{{傍点|文章=当然木刀は持っていくはず}}。独り身の男として、当たり前の備えですな」 | <br>「森さんの寝室、ベッドの脇に、恐らく護身用の木刀が置かれていたんです。おかしいですよね? {{傍点|文章=不審な音で目覚め}}、{{傍点|文章=様子を見に行くなら}}、{{傍点|文章=当然木刀は持っていくはず}}。独り身の男として、当たり前の備えですな」 | ||
<br> | <br> ……しまった。 | ||
<br> あの時、ちゃんと寝室の中を確認すべきだった。だが、後悔しても遅い。 | <br> あの時、ちゃんと寝室の中を確認すべきだった。だが、後悔しても遅い。 | ||
<br>「血痕と木刀、この二点を鑑みれば、{{傍点|文章=誰かが盗人の犯行に見せかけたのではないか}}、という疑いが俄然強まる」 | <br>「血痕と木刀、この二点を鑑みれば、{{傍点|文章=誰かが盗人の犯行に見せかけたのではないか}}、という疑いが俄然強まる」 |
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