「利用者:Notorious/サンドボックス/消滅の悪魔」の版間の差分

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<br>「ああ。おそらく犯人の狙いは、エライセー次官の暗殺だ。そのために、移植用の心臓を運ばせない。そうするために、この飛行機を墜落させる。自分ごと、な。しかし、そこで思わぬ障害が現れた。」
<br>「ああ。おそらく犯人の狙いは、エライセー次官の暗殺だ。そのために、移植用の心臓を運ばせない。そうするために、この飛行機を墜落させる。自分ごと、な。しかし、そこで思わぬ障害が現れた。」
<br>「言伝さん、ですか。」
<br>「言伝さん、ですか。」
<br>「その通りだ。彼なら、機械を壊しても直してしまうかもしれない。いや、機械を壊そうとしているとき、怪しまれて邪魔されるかもしれない。だから、犯人はまず言伝を殺すことにしたんだ。」<s>なんて無理のある動機なんだ!</s>
<br>「その通りだ。彼なら、機械を壊しても直してしまうかもしれない。あるいは、機械を壊そうとしているとき、怪しまれて邪魔されるかもしれない。だから、犯人はまず言伝を殺すことにしたんだ。」<s>なんて無理のある動機なんだ!</s>


キャビンに、静寂が降りた。危険に晒されているのは、ここにいる全員なのだ。一刻も早く犯人を突き止めて、この恐ろしい計画を阻止しなければならない。
キャビンに、静寂が降りた。危険に晒されているのは、ここにいる全員なのだ。一刻も早く犯人を突き止めて、この恐ろしい計画を阻止しなければならない。
160行目: 160行目:
<br>「ほんとですネ。」
<br>「ほんとですネ。」
<br>「今は昔、竹取の翁というものありけり、ってやつね。」
<br>「今は昔、竹取の翁というものありけり、ってやつね。」
<br>「今は今じゃないんですか? ありけりって?」
<br>「懐かしい! 学校で覚えさせられましたねえ。」
<br>「懐かしい! 学校で覚えさせられましたねえ。」
<br>「今は今じゃないんですか? ありけりって?」
<br>「月のころはさらなり、だっけ?」
<br>「月のころはさらなり、だっけ?」
<br>「アハハ、それは枕草子ですよお。」
<br>「アハハ、それは枕草子ですよお。」
<br>「でも古文なのは同じなので、大丈夫です!」
<br>「皿? <ruby>形<rt>なり</rt></ruby>?」
<br>「皿? <ruby>形<rt>なり</rt></ruby>?」
<br>「でも古文なのは同じなので、大丈夫です!」


ここまでお読みになった読者の中には、何か違和感を抱いた人もいるかもしれない。そう、梅丹ティコナンは古語を一切理解していないのだ。これは、彼なりの信念というわけではなく、ただ単に国語の授業を寝て過ごし続けたせいで、古語の存在を知らないからなのである。
ここまでお読みになった読者の中には、何か違和感を抱いた人もいるかもしれない。そう、梅丹ティコナンは古語を一切理解していないのだ。これは、彼なりの信念というわけではなく、ただ単に国語の授業を寝て過ごし続けたせいで、古語の存在を知らないからなのである。
171行目: 171行目:
何てダメなやつなんだ。
何てダメなやつなんだ。


そうこうしているうちに、あっという間に夕方になった。乗客は、機のシステムが自動的に出す機内食を食べた。卦伊佐は、死んだ言伝の分を食べた。倫理観など、空腹には屈してしまうのである。
そうこうしているうちに、あっという間に夕方になった。乗客は、ロボットが自動的に出す機内食を食べた。卦伊佐は、死んだ言伝の分を食べた。倫理観など、空腹には屈してしまうのである。


そして、一同は済し崩しに解散となった。この機は翌朝にはJFK空港に着く。皆が一つの場所に集まって夜を明かすことも提案されたが、全員がベッドと枕が無いとよく寝られないことを理由に却下された。 <s>なんて都合のいい!</s>
そして、一同は済し崩しに解散となった。この機は翌朝にはJFK空港に着く。皆が一つの場所に集まって夜を明かすことも提案されたが、全員がベッドと枕が無いとよく寝られないことを理由に却下された。 <s>なんて都合のいい!</s>
205行目: 205行目:
<br>「これで大丈夫になるんだね!」
<br>「これで大丈夫になるんだね!」
<br>「あたしが取り押さえるわ!」
<br>「あたしが取り押さえるわ!」
<br>「その本、私が貸した……。」
<br>「その本、私が貸した教科書だ……。」


「まあまあ皆さん落ち着いて。すぐ説明しますから。」
「まあまあ皆さん落ち着いて。すぐ説明しますから。」
226行目: 226行目:
<br>「『{{傍点|文章=来}}』!」
<br>「『{{傍点|文章=来}}』!」
<br>衝撃が一同に走った。
<br>衝撃が一同に走った。
<br>「こう考えると、メッセージの意味は歴然です。『なきそ』とはつまり、『来るな』という意味。来るな、来るのをやめろ、来る・止める……。」
<br>「こう考えると、メッセージの意味は歴然です。『なきそ』とはつまり、『来るな』という意味。来るな、来るのをやめろ、来る・止めろ……。」
<br>全員がハッとした。一人に全員の視線が集まる。
<br>全員がハッとした。一人に全員の視線が集まる。
<br>「そう。言伝さんが告発した犯人。それはあなたですね、{{傍点|文章=大流来止}}さん。」
<br>「そう。言伝さんが告発した犯人。それはあなたですね、{{傍点|文章=大流来止}}さん。」
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{{傍点|文章=Don’t wear}}……{{傍点|文章=首領・ウェアー}}
{{傍点|文章=Don’t wear}}……{{傍点|文章=首領・ウェアー}}
{| style=“width:100%”
| style=“text-align:right”| 了
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