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 できもしないようなやくそくをしてしまった小鳥は、あとでどうしたらいいのか、とてもしんぱいになりました。けれど、いちごによろこんでもらえたのがうれしくて、ひょっとすると今ならほんとうに雲の上までとべるかもしれないとおもいました。いちごといっしょなら、なにもこわくないような気がしたのです。
 できもしないようなやくそくをしてしまった小鳥は、あとでどうしたらいいのか、とてもしんぱいになりました。けれど、いちごによろこんでもらえたのがうれしくて、ひょっとすると今ならほんとうに雲の上までとべるかもしれないとおもいました。いちごといっしょなら、なにもこわくないような気がしたのです。


 ――そのときとつぜん、ばさばさという大きな音がちかづいてきました。
 ――しかしそのときとつぜん、ばさばさという大きな音がちかづいてきました。


 「小鳥くん、どうもこんにちは。」
 「小鳥くん、どうもこんにちは。」
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 「ううん、いまはじめてあったとこ……うわあ!」
 「ううん、いまはじめてあったとこ……うわあ!」


 気づいたら、カラスは小鳥のすぐとなりにきていました。えがおで。
 気づけば、カラスはいつのまにか小鳥のすぐとなりにきていて、えがおでこういいました。


 「ねえねえ小鳥くん、おいしそうな小鳥くん、きみを食べていいかい?」
 「ねえねえ小鳥くん、おいしそうな小鳥くん、きみを食べてもいいかい?」


 「え?」
 「え?」
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 しかしいちごは、なにやらあわてているようです。
 しかしいちごは、なにやらあわてているようです。
 「わたし、今日でこのおみせにすてられちゃうの!」
 「え!?」
 「りゆうはわからないけど、ケーキはみんな一日でうれなくなるからって……。とにかく日がしずんでおみせがしまっちゃったら、わたし……!」
 カラスのこうげきはつづきます。小鳥はかんがえるひまもないまま、こうさけびました。
 「わかった! 夜になるまでにここにもどってくるから、まってて!」
 「うん……! あ、ありがとう!」
 つばさをはためかせ、小鳥は空にとびあがります。しかし、ケーキやさんがみえなくなっても、カラスはしつこく小鳥をおいかけてきました。それもものすごいはやさで! 小鳥はひっしで小回りをきかせ、どうにか出しぬこうとしますが、カラスにはつうようしません。夕やけはもうむらさきがかってきていて、お日さまはしずみはじめています。
 「小鳥くんはすばしっこいなあ。もういいからはやく食べさせてよう。」
 「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかのおいしい食べものがあるでしょう!」
 小鳥とカラスはつかずはなれず、ついに街の真ん中にある時計台のてっぺんまできました。空はくらくなってきて、お日さまはもうはんぶんしかありません。はやくおみせにもどらないと、いちごはすてられて、ゴミばこに入れられてしまいます。小鳥は、ついさっきいちごと出会ったばっかりのじぶんがどうしてこんなふうにおもっているのか、じぶんでもわからなかったけど、そんなことはぜったいにいやでした。
 「ひとめぼれ、かな。」
 「え?」
 「ぼくが小鳥くんを食べたくなったりゆうだよ。」
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