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あるところに小鳥がいました。小さなみどり色のつばさと、きれいでふさふさな毛なみをもち、気ままにのうのうとくらしている小鳥です。 | |||
今日はお気にいりの甘あい実をたくさんとれたようで、ごきげんなようすでおうちにもってかえってきました。夕やけ空を風のようにかけぬけて、とっても気もちよさそうです。 | 今日はお気にいりの甘あい実をたくさんとれたようで、ごきげんなようすでおうちにもってかえってきました。夕やけ空を風のようにかけぬけて、とっても気もちよさそうです。 | ||
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「やあ小鳥さん。わあ、おいしそうな木の実!」 | 「やあ小鳥さん。わあ、おいしそうな木の実!」 | ||
「さっすが、小鳥くんは木の実をとるのがじょうずだね。」 | |||
小鳥には森のともだちがたくさんいます。いつも元気なりすさんに、食いしんぼうなうさぎさん、とっても頼りになるふくろうさん! 小鳥はみんなに木の実をすこしずつ分けてあげました。みんながおいしそうにたべているのをみて、小鳥はちょっぴりほこらしくなりました。 | 小鳥には森のともだちがたくさんいます。いつも元気なりすさんに、食いしんぼうなうさぎさん、とっても頼りになるふくろうさん! 小鳥はみんなに木の実をすこしずつ分けてあげました。みんながおいしそうにたべているのをみて、小鳥はちょっぴりほこらしくなりました。 | ||
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「小鳥くん、どうもこんにちは。」 | 「小鳥くん、どうもこんにちは。」 | ||
小鳥がうしろをふりかえると、そこには真っ黒でのっぽのカラスがいました。りっぱなつばさをもっていて、とってもとぶのがはやそうです。かっこいい! ……だけど小鳥には、どこかぶきみなかんじがしました。 | |||
「こ、こんにちは、カラスさん。」 | 「こ、こんにちは、カラスさん。」 | ||
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カラスのこうげきはつづきます。小鳥はかんがえるひまもないまま、こうさけびました。 | カラスのこうげきはつづきます。小鳥はかんがえるひまもないまま、こうさけびました。 | ||
「わ、わかった! 夜になるまでにここにもどってくるから、それまでまってて!」 | |||
「……! うん! あ、ありがとう!」 | |||
つばさをはためかせ、小鳥は空にとびあがります。しかし、ケーキやさんがみえなくなっても、カラスはしつこく小鳥をおいかけてきました。それもものすごいはやさで! 小鳥はひっしで小回りをきかせ、どうにか出しぬこうとしますが、カラスにはつうようしません。夕やけはもうむらさきがかってきていて、お日さまはしずみはじめています。 | つばさをはためかせ、小鳥は空にとびあがります。しかし、ケーキやさんがみえなくなっても、カラスはしつこく小鳥をおいかけてきました。それもものすごいはやさで! 小鳥はひっしで小回りをきかせ、どうにか出しぬこうとしますが、カラスにはつうようしません。夕やけはもうむらさきがかってきていて、お日さまはしずみはじめています。 | ||
113行目: | 113行目: | ||
「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかにおいしい食べものがあるでしょう!」 | 「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかにおいしい食べものがあるでしょう!」 | ||
小鳥とカラスはつかずはなれず、ついに街の真ん中にある時計台のてっぺんまできました。空はくらくなってきて、お日さまはもうはんぶんしかありません。はやくおみせにもどらないと、いちごはすてられて、ゴミばこに入れられてしまいます。ついさっきいちごと出会ったばっかりのじぶんが、どうしてこんなふうにおもっているのか、じぶんじしんでもわからなかったけれど、小鳥にとってそんなことはぜったいにいやでした。 | |||
小鳥はいつのまにか、森のともだちとおなじくらい、もしかしたらそれいじょうに、いちごのことをだいじにおもっていたのです。 | |||
「……ひとめぼれ、かな。」 | |||
「……え?」 | |||
カラスのおもいがけないことばに、小鳥はとまどいます。 | |||
「ああ、そうそう、ぼくが小鳥くんを食べたくなったりゆうだよ。」 | |||
「え、いや……え?」 | 「え、いや……え?」 |
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