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 あるところに小鳥がいました。小さなみどり色のつばさと、小ぎれいでふさふさな毛なみをもち、気ままにのうのうとくらしている小鳥です。
 あるところに小鳥がいました。小さなみどり色のつばさと、きれいでふさふさな毛なみをもち、気ままにのうのうとくらしている小鳥です。


 今日はお気にいりの甘あい実をたくさんとれたようで、ごきげんなようすでおうちにもってかえってきました。夕やけ空を風のようにかけぬけて、とっても気もちよさそうです。
 今日はお気にいりの甘あい実をたくさんとれたようで、ごきげんなようすでおうちにもってかえってきました。夕やけ空を風のようにかけぬけて、とっても気もちよさそうです。
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 「やあ小鳥さん。わあ、おいしそうな木の実!」
 「やあ小鳥さん。わあ、おいしそうな木の実!」


 「さすが、小鳥くんは木の実をとるのがじょうずだね。」
 「さっすが、小鳥くんは木の実をとるのがじょうずだね。」


 小鳥には森のともだちがたくさんいます。いつも元気なりすさんに、食いしんぼうなうさぎさん、とっても頼りになるふくろうさん! 小鳥はみんなに木の実をすこしずつ分けてあげました。みんながおいしそうにたべているのをみて、小鳥はちょっぴりほこらしくなりました。
 小鳥には森のともだちがたくさんいます。いつも元気なりすさんに、食いしんぼうなうさぎさん、とっても頼りになるふくろうさん! 小鳥はみんなに木の実をすこしずつ分けてあげました。みんながおいしそうにたべているのをみて、小鳥はちょっぴりほこらしくなりました。
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 「小鳥くん、どうもこんにちは。」
 「小鳥くん、どうもこんにちは。」


 小鳥がうしろをふりかえると、そこには真っ黒でのっぽのカラスがいました。りっぱなつばさをもっていて、とってもとぶのがはやそうです。だけど小鳥には、どこかぶきみなかんじがしました。
 小鳥がうしろをふりかえると、そこには真っ黒でのっぽのカラスがいました。りっぱなつばさをもっていて、とってもとぶのがはやそうです。かっこいい! ……だけど小鳥には、どこかぶきみなかんじがしました。


 「こ、こんにちは、カラスさん。」
 「こ、こんにちは、カラスさん。」
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 カラスのこうげきはつづきます。小鳥はかんがえるひまもないまま、こうさけびました。
 カラスのこうげきはつづきます。小鳥はかんがえるひまもないまま、こうさけびました。


 「わかった! 夜になるまでにここにもどってくるから、まってて!」
 「わ、わかった! 夜になるまでにここにもどってくるから、それまでまってて!」


 「うん……! あ、ありがとう!」
 「……! うん! あ、ありがとう!」


 つばさをはためかせ、小鳥は空にとびあがります。しかし、ケーキやさんがみえなくなっても、カラスはしつこく小鳥をおいかけてきました。それもものすごいはやさで! 小鳥はひっしで小回りをきかせ、どうにか出しぬこうとしますが、カラスにはつうようしません。夕やけはもうむらさきがかってきていて、お日さまはしずみはじめています。
 つばさをはためかせ、小鳥は空にとびあがります。しかし、ケーキやさんがみえなくなっても、カラスはしつこく小鳥をおいかけてきました。それもものすごいはやさで! 小鳥はひっしで小回りをきかせ、どうにか出しぬこうとしますが、カラスにはつうようしません。夕やけはもうむらさきがかってきていて、お日さまはしずみはじめています。
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 「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかにおいしい食べものがあるでしょう!」
 「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかにおいしい食べものがあるでしょう!」


 小鳥とカラスはつかずはなれず、ついに街の真ん中にある時計台のてっぺんまできました。空はくらくなってきて、お日さまはもうはんぶんしかありません。はやくおみせにもどらないと、いちごはすてられて、ゴミばこに入れられてしまいます。小鳥は、ついさっきいちごと出会ったばっかりのじぶんが、どうしてこんなふうにおもっているのかじぶんでもわからなかったけど、そんなことはぜったいにいやでした。
 小鳥とカラスはつかずはなれず、ついに街の真ん中にある時計台のてっぺんまできました。空はくらくなってきて、お日さまはもうはんぶんしかありません。はやくおみせにもどらないと、いちごはすてられて、ゴミばこに入れられてしまいます。ついさっきいちごと出会ったばっかりのじぶんが、どうしてこんなふうにおもっているのか、じぶんじしんでもわからなかったけれど、小鳥にとってそんなことはぜったいにいやでした。


 「ひとめぼれ、かな。」
 小鳥はいつのまにか、森のともだちとおなじくらい、もしかしたらそれいじょうに、いちごのことをだいじにおもっていたのです。


 「え?」
 「……ひとめぼれ、かな。」
 
 「……え?」
 
 カラスのおもいがけないことばに、小鳥はとまどいます。


 「ぼくが小鳥くんを食べたくなったりゆうだよ。」
 「ああ、そうそう、ぼくが小鳥くんを食べたくなったりゆうだよ。」


 「え、いや……え?」
 「え、いや……え?」
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