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(サビ1) |
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「う、うわあ!?」 | 「う、うわあ!?」 | ||
とつぜん声をかけられて小鳥はびっくり! まどガラスごしにはなしかけてきたのは、たなのはじっこにあるショートケーキ、その上にあるいちごでした。なめらかな形がさえた真っ赤にいろどられ、まわりのホイップクリームはまるでドレスのよう。小鳥はなんだかどきどきしながらへんじをしました。 | |||
「こ、こんにちは、いちごさん!」 | 「こ、こんにちは、いちごさん!」 | ||
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いちごは、今にも消えいりそうで、むらがるハエの羽の音にうもれてしまいそうな、しかしするどくつきさすような声で、そうつぶやきました。 | |||
「ど、どうして、こんな……。」 | 「ど、どうして、こんな……。」 | ||
「わかんないよ! わたし……ちがう、いやだ、こんな、こんなの……!」 | |||
吐きそうになるのをこらえながら、小鳥はハエをおいはらい、大切にいちごをかかえて、ハトさんの住んでいる木にとんでいきました。ものしりで頼れるハトさんなら、こんなことになってしまったいちごでも、元どおりにできるかもしれないとおもったからです。いちごをつかむ小鳥の爪は、ぶよぶよとしたいちごの不気味な手ざわりに、すこしふるえてしまっていました。 | |||
「小鳥くんか、こんな朝早くにいったい……うっ、ひどいにおいだ!」 | 「小鳥くんか、こんな朝早くにいったい……うっ、ひどいにおいだ!」 | ||
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小鳥は、また吐き気をこらえました。 | 小鳥は、また吐き気をこらえました。 | ||
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いちごさんをふたたびおうちにつれてきてからずっと、小鳥はぼんやりしていました。ときおりふいてくる風は、はっぱにたまった雨のしずくをふりはらい、小鳥といちごをくすぐって、ひゅうひゅうと音を立てます。 | |||
「ねえ、小鳥さん。」 | |||
「……どうしたの?」 | |||
「さっきわたしのまわりにいたハエ、ちょっとずつわたしをかじっていたの。」 | |||
「え……。」 | |||
「気もちわるかった。じぶんのりんかくがぐちゃぐちゃにされていくみたいで。」 | |||
「……。」 | |||
「わたし、ああやって食べられるのはぜったいにいや。だから、その……よければわたしを……」 | |||
お日さまがようやくのぼりはじめて、空の下の方がきいろくかがやきはじめました。 | |||
「わたしのことを、食べてくれない?」 | |||
「あ、え。」 | |||
「小鳥さんになら、いいの。食べられてもいい。だって……わたし、小鳥さんのことが好きだから。」 | |||
「……わかった。」 | |||
「……ほんとうに? ほんとうにいいの? ……わたし、腐ったにおいがするし、カビもいっぱいはえてるし、それに……」 | |||
「ぼくも……ぼくもいちごさんのことが、その……好き……だから。」 | |||
「そっか……ふふ、よかった。うれしい。」 | |||
なんやかんや | |||
「……小鳥さん、ごめんね。やくそくをやぶってしまって。」 | |||
「え……?」 | |||
「雲の上……つれていく、って言ってくれたのに。わたし、もう……。」 | |||
「……ぼくも、ごめんなさい。……あのとき、うそをついた。」 | |||
「……。」 | |||
「ほんとうはね、雲の上にいったことなんてないんだ。……こわいから。」 | |||
「ふふ、こどもみたいなりゆう!」 | |||
「はは……」 | |||
「でも、これでおあいこだね。」 | |||
「……ゆるしてくれるの?」 | |||
「だって、小鳥さんがわたしをたすけてくれたのはほんとうだもの。」 | |||
「……ありがとう、いちごさん。」 | |||
なんやかんや | |||
「じゃあ、えーっと、わたしのこと、食べて。」 | |||
「……うん。」 | |||
「小鳥さんに出会えてよかった。」 |
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