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機会があれば、あなたも是非このネタを見てみてほしい。
機会があれば、あなたも是非このネタを見てみてほしい。
'''ボール判定'''
私は、ストライクゾーンが広めな人間だと思っている。主観だしはっきり比べたわけでもないから、確かなことは言えないが。でも、嫌いな人とかはあまりいないし、皆がつまらないと思う作品も「悪くないんじゃな〜い?」と思ってしまうし、苦手な食べ物も顔を歪めることを許してもらえれば大抵食えるし、ストライクゾーンが広いんじゃないかな〜と思ってきた。しかし、今は成長して多様なコンテンツも摂取したから、あまり面白いと感じない作品も現れるようになってきたが。でも、幼い私は、プロの手による作品なら、ほぼ全部面白いと感じていたのだ。無論、ミステリについても同様である。
しかし、しかしだ。幼い私が、はっきり「おもんな!」と思ったミステリが一つだけある。それは、山口芳宏「豪華客船エリス号の大冒険」である。
この本は、創元推理文庫から出ている。この作者は鮎川哲也賞を「雲上都市の大冒険」で受賞しており、この作品はその受賞後第1作であったためだ。創元推理文庫と鮎川哲也賞はどちらも、東京創元社が主宰しているからだ。ここ、テストに出るぞ〜。
創元推理文庫は、良質な本格ミステリを多く出版しているレーベルだ。そのため、私はこれを信頼していた。また、鮎川哲也賞も本格ミステリに特化した新人賞であり、「雲上〜」も悪くはなかった。そのため、私は「豪華〜」に、期待していたのである。
結論から言うと、その期待は裏切られた。最初はよかった。魅力的な密室殺人が起こり、乗り合わせた探偵が捜査にあたる。豪華客船でテロみたいなことが起きたとき、私はまだ信じていた。きっと大風呂敷は畳まれるのだろうと。しかしだ……。
なんだよメインの密室のトリックが{{粛清されました}}ってよ! カスじゃねえか! はあ? なんだったんだよああ? 他のトリックも、別にあんま必要性感じないくせに、なんか労力ばかり多そうで、しかもしょぼい。{{粛清されました}}とか、小学生でも考えつけるわ! そんなスケールのトリックを使っていいのは、中学生までだろ!
結局物語は、活劇要素で幕を閉じた。本格ミステリを期待していた私は、露骨に落胆したのだった。
今思えば、「雲上〜」にその片鱗は見えていたのだ。メインである第一の事件のトリックは、インパクト大で良かった。そこが評価されてデビューできたんだろうし。でも、その後の事件は、なんか駆け足で雑だった。一つ頭おかしいんじゃねえかと思うようなシーンもあるし。笠井潔に「出版すら危ぶまれる」と言わしめたシーンである。まあこれは関係ないか。メイントリックが、それらの欠点をある程度補えるくらいには悪くなかったのである。しかし、「豪華〜」には、それが無かった。
多分、冒険小説を求めて読んでいれば、ここまでがっかりはしなかったのだろうと思う。しかし……まあ、面白くはなかったなあ……。
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