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「勘違いも何も、髪の毛のない部分が十円玉みたいに見えるから十円ハゲってだけなんじゃないですか?」
「勘違いも何も、髪の毛のない部分が十円玉みたいに見えるから十円ハゲってだけなんじゃないですか?」


「そう、そこだ、そこなんだよ。{{傍点|文章=十円ハゲの成立は十円玉の実在の成立を要求するという勘違い}}。実際には、まったく逆だったんだ。この二項の間にある関係は、『{{傍点|文章=十円ハゲがあるならば、すなわち毛髪境界の相が十円玉の形状であることが成立するならば、十円玉が形而下的に実在することが成立する}}』というものだったんだ!」
「そう、そこだ、そこなんだよ。{{傍点|文章=十円ハゲの成立は十円玉の実在の成立を要求するという勘違い}}。実際には、まったく逆だったんだ。この二項の間にある関係は、『{{傍点|文章=十円ハゲがあるならば}}、{{傍点|文章=すなわち毛髪境界の相が十円玉の形状であることが成立するならば}}、{{傍点|文章=十円玉が形而下的に実在することが成立する}}』というものだったんだ!」


「え……? つまり、十円玉が実際に存在しているのは十円ハゲがあるからだ、っていうことですか?」
「え……? つまり、十円玉が実際に存在しているのは十円ハゲがあるからだ、っていうことですか?」


「うーん、まあ、もっと正確に言うと、『○○ハゲが成立することは、○○の実在が成立することの十分条件である』という話だ。それは後件肯定だよ」
「うーん、まあ、もっと正確に言うと、『○○ハゲが成立することは、○○の実在が成立することの{{傍点|文章=十分条件}}である』という話だ。お前のそれは後件肯定だし、さらに言えば、十円ハゲが示すのは、『十円玉が{{傍点|文章=存在している}}』というよりも『十円玉が実際の存在として{{傍点|文章=成立できる}}、あるいは{{傍点|文章=成立したことがある}}』ということだ。現在の状態には関係なく、ただいつかのタイミングでの『成立』という一点のみを担保する」
 
「はあ。いや、でも……おかしいですよ。○○ハゲは、成立要件からしても、○○の形状というその事物の実在に基づいたものを必要としているじゃないですか。{{傍点|文章=必要条件}}ですよ。十円玉が存在しえない世界では、『十円ハゲ』なんていう概念が生まれるはずもありません」


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