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  ----- -- - ---こちら月着陸船「raider」。軌道臨界高度3,200mに到達。世界標準時1982年5月25日A.M5時29分 これより着陸の為降下を開始する。
  --- -- ---- - こちら軌道周回司令船「signpost」。降下を確認。システムチェック:"all green"を確認。グッドラック。




 人類はこの三千年間に急速に発展してきた。


 太陽系とケンタウリ座α星系は完全に人類の手中に入った。


 ラランド21185から地球外知的文明の出した信号が検出され、通信が可能になった。


    通信終了
 そして一番大きな功績は「CRYPTO/クリプト」の発見だろう。「クリプト」は科学で説明できない物質――――いや、科学で説明できないことを証明してしまった物質だった。人類の到達点であり、西暦時代からの夢だった謎「宇宙の起源は何だったのか」―――この問いについて、人類は知恵を寄せ合ったが、結果的にこれは無限の存在を証明することになるという結論を得た。そう――――その証明は出来ないことが証明された。これは元々から「不可能な証明」だったのだ。そしてこの「クリプト」さらに言えば「cristal of radiance yielding power transcendence omniscience」「力/超越/全知を生み出す結晶の輝き」<ref>全く、こんな大袈裟な名前をつけたヤツは誰だ。まぁこの名前では小さすぎるほど大袈裟な力を持ったのが「クリプト」なのだが。</ref>は、その全容を解明しようとした者にことごとく「深淵」というペナルティをかけてきた。つまり、我々はこれの原理を知らずに使っているのだ。もちろん「クリプト」が生み出すエネルギーは無尽蔵で最大出力も知られていない、いや、最大出力などないのかもしれない。とにかく我々はそれを使った。我々が保有しているのは現在2つ。連邦議会エネルギー局は新しい「クリプト」を発見した者に対して10億ドルの報酬金を出すことを約束した。「クリプト」は今や世界中の憧れだ。


 
―――――と、ここまで長く語ってきたが。お前さんはクリプトの写真を見たことがないのだろう?ほら、これがクリプトだ。
 
[[ファイル:クリスタル.jpg|フレームなし]]
 
 
 
 「15年だ。この計画は15年前に始まった。アポロ計画は7年で月に行った。アルテミス計画は5年で成功させたし、ジュノー計画は8年で木星まで到着した。」
 
 「あぁ、15年前にこの計画はスタートした。まさかここまでかかるとは大統領だって思ってなかったろう。ここまでの道のりは長かった、エドはそう言いたいんだろう?」
 
 「ホワイト、よく分かってるじゃないか。まさか、月の裏側に行くだけなのにこんなにかかるとはね。月の表には7年で行けたんだ。8年か、ひょっとすると9年もたてば、行けるようになるだろう。そう
  思ってたんだ」
 
 「エドの言うことはお見通しだ。思えばこの40年間、いろんな事があった。」
 
 「全くもってその通りだよホワイト。40年前にはロシアが崩壊して15の小さな国になった。35年前にはその中の1つだったゼノビアが周りの勢力を飲み込んで強くなり始めた。一方アメリカはアトラン
  ティス・プロジェクトを発動させて団結力を高め、国家解体宣言を出した後、メキシコ、カナダ、イギリス、日本、オランダとかと一緒にアトランティス連邦を作った。中国とインドは衰退していっ
  て、アジアじゃ残ってるのは日本と韓国、それにアドベントぐらい。25年前には日本と朝鮮半島の辺り、台湾があったところの辺りで巨大地震が起きた。かと思ったらアメリカ州の辺りでも巨大地震
  と津波が襲ってきた。俗に言う8.21だ。」
 
 「その頃お前はゴジラがアメリカに来たとか言って大騒ぎしてたな。お前は映画の見過ぎなんだ。」
 
 「昔の恥ずかしい記憶ってのは掘り起こさないもんなんだよホワイト。20年前にはエドウィン・ローバードが月の起源について新しい説を提唱し始めた。最初に聞いたときは馬鹿じゃないのかと思った
  が、検証すると辻褄が合ってくる。挙げ句の果てにはNASAが月へ行って検証しようと言い始めた。これが、俺たちの任務、ルナストーム計画がスタートした発端だった。」
 
 「昔じゃスマートビジョンなんて考えられなかっただろうなエド。一昔前までみんなあのまな板みたいなスマートフォンだったんだぜ。それが今や手首装着型デバイスになって、ボタンを押せば何もない
  空間に画面が映し出される。」
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