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| 選り抜き記事 |
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「ここか……事件が起きているのは。警察ももうすぐ来るだろうが……少し様子を見ておくか」
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「……で、男の他殺体からは睡眠薬が検出されたと」
「そうだ、探偵さん。医師の私が言うからには間違いないよ」
「まあ、何というか、明らかにこのビンが怪しいよな……ラベルは貼られていないようだが……ん?」
「被害者の死体が気になりますか? このお客様は、今日のパーティーの為に当館にやって来たのです。死んでしまって残念です。不潔ですし、お片付けした方がよろしいでしょうか?」
「あー、ここのメイド長か。いや、その必要はない。それより、これ……ダイイングメッセージじゃないか?」
「確かに、文字にも見えるなア。えーとどれどれ、『ビタ眠剤』……? なるほど! 犯人は、ビタ眠剤という者なのかア!」
「ちょっとアナタ、しっかりしなさいよ。こんな素っ頓狂な声出して、館の、館の主人としてぇ、恥ずかしいわもう恥ずかしくないの? アッハハ」
「そうだぞ親父。このパーティーの参加者にそんな名前の奴いない。ほら見ろ、これが今館にいる全員のリスト。赤ペンは俺の書き込みだ」
| 本番 | 被害者 | 館の主人 | 館の妻 | 御曹司(自分) | メイド長 | 医者 | 不法侵入YouTuber | 女スパイ伊織さんは、こいつには何をしてもいいって言っていたけど、だれ? | 岸田総理 | 天草四郎時貞 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ☆事件発生後追加→探偵(伊織さんが、電話で誘い出すように言っていたごめんなさい)
さらに後で来る?→警察(電話した!来るまでぜったいばれないようにする!) | ||||||||||||
「えー、つまり、おそらく他殺体から検出された睡眠薬というのは、この『ビタ眠剤』とやらのことなんだろう。そしてこれは十中八九……この、謎のビンの中の錠剤だろうな」
「いや、それにはさらなる検討を重ねる必要があると思われるが……」
「Jesus! What the hell boy, I just wanna have a golden CHRISTIAN HEART you know?」
「飲んでみるか……飲んでみたらこれが睡眠薬かどうかわかるしな。最良の方法にちがいない」
「テラワロスwwwwwwwwwwwwこいつなんと、謎のボロアパートに今潜入してカメラ回していっているのですが、見るからの怪しげっぽい錠剤を呑み込んでますwwwwwこれは期待できるぞwwwwwww」
「ま゙ってえ゙ぇ……ぜっ゙っ゙だい、のん゙じゃ、だ、め゙、ぇ゙」
「おいッ! 女スパイ! うるさいぞオ! 今何時だと思ってるんだア!」
「ちょっとアナタ、アナタたら、アナタったら本当にもう、伊織さんも呆れてるじゃないのよお、アッハハ」
「母さん、でも、伊織さんの表情はガスマスクで覆われていて見えないよ。親父も、女の人を蹴るのはやめたほうがいいよ」
「あら、ホント、すみませんねうっちの、ウチュ、ウチの子ったらおべっかでホントにアッハハハ」
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「んん……どうなってる? 『ビタ眠剤』を飲んで、い、意識が飛んでいた……ここは? 夢? 夢か? 雪山?」
「そうだ、探偵さん。医師の私が言うからには間違いないよ」
「雪山? 確かにここは寒いですね。暖房をお付けいたしましょうか? ストーブをお付けいたしましょうか? 電子レンジは流石に耐えられませんよね? オーブンもありますけど耐えられませんよね?」
「アアおっかねえおっかねえ、寒いよもう手足なんかイモ焼けしそうだなア」
「アナタ、いもうあ、ヒ、芋焼けじゃなくてしも焼けでへ、でし、でしょうがアハハハ」
「親父、確かに雪山ってのは寒いところだな」
「FUCKING COLD!!!」
「あのう、日本国民の皆さん。今、この雪に閉ざされた館のドアを、誰かがノックしているように聞こえたのですが、それにつきましてはどのように検討していくか、会議を開くべきです」
「チャンネル登録よろしくお願いします!グッドボタンと、チャンネル登録!通知ON!今回の、病、狂った医者の噂の真相とは……お楽しみいただけます!グッドボタンと、チャンネル登録!通知ON!」
「おいおい、来客がいるんならアよ、俺が出迎えてやらねえと、よっと、つってて」
「アナタいい加減にしらさいよ! ただでさえ物資がすふないのに、あららしい人をいれるわけにはいかないわ! わら、わ、わらひたちが、こおえて死んでしまう!」
「もう少しの、もう少しの辛抱で、きっこ、きっと寒くないから……親父、母さん、もう少しだ」
「ん゙ん゙ううううううう ごぁ゙ あ゙っ」
「伊織さん、女スアイ用のこほ率的な拷問用くはあちらにあったはうですよ。ああ、そうですか。なうほど。すいません、差しえがましい真似を。盲もう的なおお率主義にとらわれておりました。盲もうには灯りをつけたほうがいいかもしれませんえした」
「ああ! ドアが壊あれた! 誰あが侵入してきたぞ!」
「そうあ、探偵さん。医ひの私が言うからには間違いあいよ」
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「警察だ! 伊織海斗! 直ちに武器を捨てて投降……うっ!」
「あああああ、はっ、あっ、こあおア、ころあえああえ!」
「あ、アナ、アナタ、ひ織さんはひか、い、二階にいえ、にえ、に、にぎいいい、ぎいぎ、いぎぎい、ぎいい」
「たあ、たす、たあ! あっ、こ、ここ! だああ、あっ、あ!」
「……お゙があざあ ごえん」
「い、いあぎ、あ、お、あおいろ、青白い、おぐ、おお、おおきい、大きい目え、目で、はだ、肌あおぎおくて」
| * * * |
「速報です。元医師の伊織海斗容疑者が、殺人罪で現行犯逮捕されました。男は郊外に所有する一軒家の中に少なくとも男女累計32人以上を誘拐・監禁し、違法な薬物の実験を行っていたところを、通報によって向かった警察に逮捕されたようです。監禁され死亡した被害者の中には、警察の女性潜入捜査官もいたそうです」
「これは恐ろしい事件ですねえ。なぜ警察は早くに捜査に踏み込めなかったのか……」
「どうやら、容疑者の男は薬物によって被害者たちを洗脳のような状態にしたうえで監禁していたそうですね。ところが、男が被害者のひとりであるAさんに、近くで探偵事務所を営んでいた男性を電話で誘い出すよう指示した際、密かにAさんがこの事態を警察に通報したことで、事件が発覚したそうです」
「洗脳……それは恐ろしい」
「まだ情報が錯綜しているのですが、どうやら男は自身で作製した精神作用に働きかける薬物を日常的に被害者らに投与したうえ、被害者らをいくつかの『グループ』に分けて不気味な『ロールプレイ』を行わせ、その様々な反応を観察していたといいます。そして、一定期間の実験を済ませた後は、新しく開発した薬物の作用を確かめるための実験台として、『パーティ』と偽って『グループ』ごとまとめて殺害していたということです。今回警察にこの事態を通報した被害者の男性は、痛ましいことに亡くなってしまいましたが、おそらくこの最後の実験を予期していたのでしょう。男がなぜ接点のない探偵事務所の男性を、それもわざわざ被害者の一人に、しかも証拠の残る電話で誘い出させようとしたのかは依然不明ですが、ある精神分析家の主張によれば、これは『ロールプレイ』への異常な偏執によるものだといいます。実際、この時に行われていたロールプレイは『殺人事件』だったそうで、猟奇的にも男は『被害者役』の被害者を、やはり実際に殺害していたのだということです」
「その探偵事務所の男性はどうなったんですか?」
「彼も、警察に通報した後、自分でもその家に向かったらしいのですが、男に薬物で殺されてしまったそうです。容疑者の男は、自身は常にガスマスクをしたうえで、家中に気体状の神経に作用する薬物を散布していたらしく、この男性もその薬物に暴露して倒れていたところを捕まってしまった後、通報した男性と同じ『グループ』に入れられ、この薬物を摂取するように仕向けられたとみられています。このガスによって、最初に突入した警察官の中にも死傷者が出たということです。なぜこのような凶悪犯罪を犯したのか、その動機については、容疑者は未だ口を閉ざしたままです」
「これは大事件ですよ。令和最大の猟奇的事件だ。徹底的に、社会全体でこういう犯罪を議論していく必要がある」
「容疑者の男は、取調室でもしきりに『死眠剤』という薬物の威力を気にしているようです。おそらく、これが今回公にされた薬物大量殺人事件に用いられた薬物なのでしょう」
| 新しい記事 |
主に、高校の問題の事である。中学校の問題でもあるとされている。ここに例を挙げておく。
- 同じ時間に家を出ない兄弟
- 同じ水槽に水を注ぐ二つの蛇口
- ただ公園をぐるぐる回るだけの人
- 傾いたコップの中の水
「ねえ小島さん、叙述トリックって知ってます?」
「急になんだよタケ。まあ知ってるけどさ」
冬の早朝6時15分、僕はいつもより少し早く目覚めてしまい、同じく起きていた小島さんにこの質問をぶつけたのだった。小島さんは35歳くらいで、彫りの深い顔に髭が似合うダンディな人だ。
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「こないだ読んだ本にあって。ミステリーあたりはからっきしなんですよ」
僕はしばらく前にトラブルを起こして大学を退学になり、今は男4人で同居している。ルームシェアだと思えばましだけど……誰が進んで野郎共と一つ屋根の下で住むものか。4人というのは、僕と小島さん、そして京極さんと三津田さん。皆僕より年上だ。あとの2人はまだぐっすり寝こけている。部屋はいささか肌寒い。
「はっ、マジかよ」
小島さんは鼻で笑った。お前がかよ、と顔が語っている。
「こういうの好きだったでしょう? 教えてくださいよ」
時々小島さんが本を読んでいるのを見るが、大体推理小説なのだ。どうやらそういう系統の新人賞に応募したこともあるらしい。
「わかったよ。丁度叙述トリックについての昔話があってな、聞かせてやるよ。ただし、手を動かしながらだ」
見ると、京極さんと三津田さんがもぞもぞと起き出していた。2人とももう、おじさんというよりおじいさんといった方がしっくりくる歳だ。京極さんは身長が低くて小太り、三津田さんは対照的にのっぽで痩せぎすな体型をしている。話し方も、三津田さんは三回りほど年下の僕にも丁寧語を使うが、京極さんはゴリゴリの関西弁で、対照的だ。
「おはようございます」
「なんやふたりとも偉う起きるんが早いなあ」
いつも同じ時間に起きていると、アラームなぞ無くとも自然と目が覚めてしまうものだ。僕は変わり映えのしない一日の到来に溜め息を吐くと、布団を畳むために立ち上がった。
「あれは俺が小6になりたての4月の出来事だった」
そう小島さんは話し始めた。
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