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「それで……三つ目。『見られなかった』かつ『不利益だった』……いや、『不利益ではなかった』でも大して変わらないか。とにかく、犯人はあのメッセージ自体を認識できなかったんだ。被害者が死んだ瞬間を確認せずにどこかへ行ってしまったか、あるいは錯乱していて気づかなかったのか。不利益であろうとなかろうと、見ていないんだからしょうがない。こうしてメッセージはそのまま残った」 | 「それで……三つ目。『見られなかった』かつ『不利益だった』……いや、『不利益ではなかった』でも大して変わらないか。とにかく、犯人はあのメッセージ自体を認識できなかったんだ。被害者が死んだ瞬間を確認せずにどこかへ行ってしまったか、あるいは錯乱していて気づかなかったのか。不利益であろうとなかろうと、見ていないんだからしょうがない。こうしてメッセージはそのまま残った」 | ||
「……うーん、それで結局どういう話になるんだ?」 | |||
「オーケー、今まではありえそうな個別の事柄を適当に述べていっただけだ。じゃあまとめると……ああ、その前に一つ言えるのは、あの文章が犯人にとって『不利益ではなかった』という可能性は低そうってことだ。わざわざ暗号みたいな感じで書いたのは、十中八九その内容が自分を殺そうとしてきた奴にバレたくないものだったからだろう。だから、二つ目に言ったようなことの蓋然性は低い」 | 「オーケー、今まではありえそうな個別の事柄を適当に述べていっただけだ。じゃあまとめると……ああ、その前に一つ言えるのは、あの文章が犯人にとって『不利益ではなかった』という可能性は低そうってことだ。わざわざ暗号みたいな感じで書いたのは、十中八九その内容が自分を殺そうとしてきた奴にバレたくないものだったからだろう。だから、二つ目に言ったようなことの蓋然性は低い」 | ||
149行目: | 149行目: | ||
「乱暴な推理だ」 | 「乱暴な推理だ」 | ||
「(帳尻合わせの創作だよ。)……で、ダイイングメッセージが暗号でないとするなら、これはただの意味不明な文章だ。筆跡は被害者のものだが、錯乱して書いたとは考えづらい。ならば答えはこうだろう――『犯人が捜査の攪乱のために被害者に書かせた、無意味な文章』。これが俺の考える真相だ」 | |||
藤原が言い終わるのと同時に、またハトの鳴き声がした。鳩時計は午後四時を指している。 | 藤原が言い終わるのと同時に、またハトの鳴き声がした。鳩時計は午後四時を指している。 |
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