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「うん」 | 「うん」 | ||
「広い病室だね」 | |||
「落ち着かないくらい」 | |||
「お母さんは?」 | 「お母さんは?」 | ||
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「食中毒だって。黄色ブドウ球菌。昨日の昼に何食べたの?」 | 「食中毒だって。黄色ブドウ球菌。昨日の昼に何食べたの?」 | ||
「……自分で握ったおにぎり。次からちゃんと手洗うから、もう許してよ。さっきまでお母さんにこっぴどく叱られてたんだから」 | |||
「それは災難だったね」 | 「それは災難だったね」 | ||
「ほんとに。今までこんなことなかったのに」 | |||
「これからは気をつけてよ」 | |||
「……また失敗しちゃった。これで最後って決めてたのに、結局は最後まで失敗続き」 | |||
「……ねえ、昨日聞きそびれたことだけど。少女風ちゃんが、その……死のうとするのはどうして?」 | 「……ねえ、昨日聞きそびれたことだけど。少女風ちゃんが、その……死のうとするのはどうして?」 | ||
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「胃洗浄は死ぬかと思った」 | 「胃洗浄は死ぬかと思った」 | ||
「他にも山ほど危ないものがサラダに入りかけてたんだから。たまたまサラダに混入しないで済んだだけで……あれ?」 | |||
「どうしたの? 変な顔して。何見てるの?」 | |||
「昨日の動画。例のYouTuberが撮ってたやつ。あ、やっぱり」 | |||
「なんかあった?」 | |||
「僕はこれを羽田で拾ったタクシーの中で見てたんだけど……ほら見て、機関銃を皿に入れる少女風ちゃんが写ってる」 | |||
「なんか恥ずかしい」 | |||
「いやそんなことより、少女風ちゃん、あのとき銃を食べた?」 | |||
「え? うーん、皿にあったものは全部食べたけど……」 | |||
「あんなもの食べたら食中毒じゃ済まないよ。そもそも口に入らないでしょ」 | |||
「でも私、いまさらを平らげたよ?」 | |||
「そう。映像を確認しても取り出されてたりなんかしてない。{{傍点|文章=軽機関銃がいつの間にか消えてる}}んだ」 | |||
「うーん……気づかない間に食べちゃったんじゃない?」 | |||
「はは、まさか…………<ruby>軽機<rt>けいき</rt></ruby>……」 | |||
「どうしたの? また変な顔してる」 | |||
「……お母さん、{{傍点|文章=食べてくれたのか}}?」 | |||
「なんの話?」 | |||
「……母親との、約束があってさ」 | |||
「たっくんのお母さんって、四歳の頃に死んじゃったよね」 | |||
「……小さい頃の、約束だよ」 | |||
「ふーん。私もお父さんと約束しとけばよかったなあ」 | |||
「そうだ、少女風ちゃん」 | |||
「何? 改まって」 | |||
「昨日バタバタしてて言いそびれちゃったけど、誕生日おめでとう。これ、プレゼント兼お見舞いの品。有田みかん」 | |||
「え、やった! おいしそう! あ、待って。私、しばらく病院食しか食べちゃいけないって言われてるんだった。うわー!」 | |||
「じゃあ僕が預かります」 | |||
「そんな! ひどい! 鬼! 生殺し!」 |
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