Sisters:YGT財団/YGT-012

提供:WikiWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

アイテム番号:YGT-012

オブジェクトクラス:Hoefler

有効な外部存在対策:
YGT-012-Aの感染者を見つけ次第、確実に殺害し、死体を完全に焼却してください。

YGT-012-Bを発見し次第、安全かつ確実に収容できる場合には収容を、そうでない場合には撤退的な破壊をしてください。

説明:
YGT-012は、全世界に点々と分布している感染症であるYGT-012-Aと、その発生源であるYGT-012-Bによって構成されます。その巨大な規模は、財団による収容をも不可能なものにしています。

YGT-012-Aの感染はヒトにしか発生せず、その経路は不明です。感染者は、まず"潜伏期間"として、長くて数年、短くて数分の間、皮膚の掻痒感や不快感を覚え続けます。このとき、感染者は異常にYGT-012-Bを崇拝するようになります。

その後、感染者は数分間の仮死状態に入ります。この間に、感染者の肉体は山吹色に爛れ、いくつもの腫瘍が形成されていきます。

仮死状態を終えた感染者は、膨張を繰り返し、また感染者同士で"一体化"しながら、海中のある一点を目指して移動するようになります。このころには、感染者は最早ヒトとしての特性を全く残していません。

YGT-012-Bは認識改変能力を保持しており、その実際の性質は明らかにされていません。しかし、前述した"海中の一点"に存在していると推測されています。

YGT-012-Bによる認識改変は極めて強力であり、まったく非合理的な認識さえも自然に感じさせることが可能です。しかし、これはYGT-012-Aの潜伏期間中も含む感染者には作用しないことが示唆されています。

記録:

  • YGT-012-L1 - 無人上陸探査

潜伏期間にあるYGT-012-Aの感染者の集団が日本国北海道全土を占領し、感染を大きく広げるという事態が発生。自衛隊の全面協力の下、無人探査機"レニー"を北海道東南部沿海に派遣しました。

レニーのカメラ映像に最初に映ったのは、1.5~2mほどの山吹色に膨れ上がった感染者が列になって海岸沿いを移動している様子でした。

感染者の一体はふとレニーの方を向き、しばし凝視しましたが、何事もなかったかのように再び歩き始めました。

レニーは感染者の列を抜け、海沿いの村落を探索しに行きました。

村の開けた場所で、年齢、性別に偏りのない、おそらく潜伏期間にあたる感染者が十数名ほど集まって何か叫んでいる様子でしたが、その発声が不明瞭であったため内容は把握できませんでした。

レニーは村のひときわ大きな直売所とみられる施設に到着しました。中には2~3名の人々が横たわっていました。

その中の一人が突如として吐瀉しました。意識は無い様子であり、指の節が膨張して血がにじんでいるようでした。

レニーは施設を後にし、漁港に向かいました。最初に映った感染者の列は、波打ち際に到達していました。

レニーに係留施設の屋内に入るよう指示しました。しかし、何か山吹色の大きな壁に阻まれたため、断念しました。

村の開けた場所に戻ると、3mほどの太い柱のようになった感染者を発見しました。先ほどの十数名の感染者が"一体化"したものだと思われます。

レニーにそれに接近するよう指示しました。その感染者は鈍重ながら海に向かって移動しているようでした。

感染者はレニーを発見し、何やら叫び声を上げました。管制室はこれが「ウニ」のように発音されていたと記録しています。

この直後、レニーは背後から接近してきていたとみられる別の感染者に押しつぶされ、映像は途絶えました。記録はここで終了しています。

  • YGT-012-L2 - 有人上陸探査

財団機動部隊第六分隊"向こう見ず"は、北海道地方の奪還を目的とする日本自衛隊と協力して、YGT-012の調査のために現地へ派遣されました。

青函トンネルを通って陸路で向かっている最中、海中近くから何か極めて巨大な叫び声が放たれました。おそらくこれはYGT-001-Aの感染者によるものです。

8分後、第六分隊は自衛隊と進路を別れたのち、無人探査(YGT-012-L1を参照)が行われた海岸に到達しました。波打ち際には、既に感染者の姿はありませんでした。

第六分隊はチームαとチームβに分かれ、それぞれ村落と漁港を探索しました。

直売所に到着したチームαは、3mほどの細い柱のようになった感染者を発見しました。これは無人探査で発見されたものとは別個体であると考えられます。

チームαは7.62mm弾を感染者の中心部に80発射撃しました。感染者は出血し、吐瀉してよろけました。

その数秒後、感染者は激しく暴れまわり、チームαの2名が死亡、11名が負傷しました。負傷者のうち6名は皮膚の掻痒感を訴えたため、分隊長により即座に射殺、焼却されました。

一方チームβは、10mほどの塊のようになった感染者を発見しました。これも他の感染者同様、海に向かって移動していました。

チームβは7.62mm弾をその感染者の中心部に640発射撃しましたが、あまり効果はないようでした。

撤退してきたチームαが、調査中のチームβと合流しました。チームαを追跡してきたか、または単に海に向かって移動してきた、先の3mほどの感染者もそこに現れました。

10mほどの感染者は突如3mほどの感染者に覆いかぶさり、両者は"一体化"してさらに一回り膨張しました。

"一体化"を終えた感染者はそのまま埠頭から落下し、水上を沈んで移動していきました。後には膿んだような跡が残っていました。

この直後、第六分隊は新たに内陸から移動してきた2~5mほどの感染者の列に遭遇したようです。記録は途中で終了しており、詳細は不明です。これを最後に、第六分隊は失踪しました。

  • YGT-012-L3 - 無人海中探査

有人上陸調査から41分後、感染の有無を問わず内陸部には誰一人として残っていなかったということが、自衛隊によって報告されました。

これによって、北海道にて発生したYGT-012-A感染者は既にすべて海中に入ったと推測した財団は、無人探査機"アトラ"を北海道東南部の海中に派遣しました。

また、この事態の偽装工作について、その脅威が世間に露呈してしまった場合には更なる混乱を防ぐためのカバーストーリー"カルト集団の蜂起"を発効し、それまでの間は徹底的に情報を統制し続ける、という計画がW5評議会にて発議され、承認されました。

海中の比較的浅い場所には、大きく膨張して浮腫んだ5~6mほどの感染者が列をなして移動していました。

アトラはこの列をひそかに抜け、さらに深くへと進みました。その周辺にはより膨張した10~20mほどの感染者が点在しており、同様にこれらも移動していました。

YGT-012-Aの研究サンプルを採取するため、アトラはその内の一体に近づき、拳ほどの肉片を切断しました。これはいずれの感染者にも無視されました。

アトラは入手した肉片を後部のポッドに格納し、感染者の移動していく先に進行しました。

突如、アトラは激しい揺れに襲われました。近辺での地震の発生は確認されず、管制室はこれを感染者あるいはYGT-012-Bの影響だと結論付けました。

これによってアトラの暗視装置は故障し、映像の視認性が極めて悪化したため、30分間の電力供給が可能な予備電源を起動させ、フラッシュライトを作動させました。これによって、周辺の海水が淡く黄色味を帯びていたことが判明しました。

約15秒間が経過したのち、周囲の安全を確認して、再びアトラは進行を開始しました。

アトラのカメラ映像に収まりきらない大きさの感染者が確認されました。恐らく浸透圧の影響によって、体内から黄濁した何かが海水に溶け出していましたが、腫瘍の膨張速度はそれを上回っているようでした。

突然アトラの制御が不能になり、その感染者に接近し始めました。そのままアトラは感染者の体内に飲み込まれ、映像は途絶えました。記録はここで終了しています。

これは、アトラが格納していた感染者の肉片と巨大な感染者の"一体化"に巻き込まれたことによるものだと推察されています。

  • YGT-012-L4 - 有人海中探査

財団機動部隊第三分隊"ドラウン・ドラッグ"は、YGT-012-A感染者、およびYGT-012-Bの調査のために、無人探査(YGT-012-L3参照)が行われた海中へと派遣されました。

第三分隊は12隻の原子力潜水艦と、それぞれ14本、計168本の324mm魚雷を装備しており、YGT-012-A感染者への無条件の攻撃が許可されていました。

このとき、比較的浅い場所にはもう感染者の姿はなく、すでに全体として海中深くに移動していることが認知されています。しかしながら、その周辺の海水は淡く黄色味を帯びたものとなっていました。

深度約300m地点に到達後、第三分隊は50mほどの感染者を確認しました。魚雷が発射され、中心部に命中しました。

感染者の中心部は大きく吹き飛び、内部の黄濁した何かが大量に流れだしてきました。数分後、感染者はふやけた皮と微細な肉片のみになりました。

さらに奥へ進むと、およそ200mほどの大きさの感染者が発見されました。これにも魚雷が発射され、先の感染者と同様の反応が記録されました。

この感染者の体内から、肉片と共に無人探査機"レニー"(YGT-012-L1参照)が出現しました。機体の損傷は激しく、回収は断念されました。

深度500m地点に到達し、しばらく潜航した後、感染者の姿が現れなくなりました。

数十分後、突如として異常に激しい乱流が発生し、5隻が分隊から離脱してしまいました。その流れの向きは、感染者の移動する方向と全く同じものでした。

このころ、第三分隊をこの海域に輸送した財団職員は、浅瀬の黄色味が薄まっていくことを目視し、報告しています。

離脱した潜水艦の内の1隻は、暗視装置が故障したため、光源をフラッシュライトに切り替えました。当該艦の隊員は、次のように記録しています。

ああ、クソ、俺たちは既に体内に
いたんだ!奴らはこの海域をまる
ごと体に収めちまってる!窓の外
にあるのは黄色味を帯びた海水な
んてものじゃない!感染者同士は
おろか、海とさえ「一体化」しつ
つある奴らそのものなんだ![1]

これを受け、第三分隊は避難を開始。周囲に魚雷を発射しつつ水流に逆らって浮上するスキームが採られました。

しかしながら、水流の抵抗は非常に強く、うち7隻が流されていってしまいました。数分後、該当する潜水艦との無線通信は完全に不可能になりました。

残った5隻も深度300m程度の地点からは浮上が極めて困難になり、財団機動部隊本部に以下のように連絡しました。

こちら第三分隊、もう魚雷は使い
果たしたし、十二隻中七隻を損失
した!至急応援を頼む!腕利きの
分隊でもこっちによこしてくれ!
いいか、必ず奴らをぶっ殺せるよ
うにだ![1]

これにより、財団機動部隊は第八分隊海中班の派遣を決定しました。記録はここでYGT-012-L5-Aに分割されています。

  • YGT-012-L5-A - 有人海中探査

第三分隊の甚大な損害を受け急遽、財団機動部隊第八分隊"麻森閑"海中班が現地に派遣されました。

海中班は3隻の原子力潜水艦と、それぞれ16本、計48本の533mm魚雷を装備していました。海中班が到着した時点で、海上から目視可能な範囲内に黄色味を帯びた海水あるいは感染者は確認されず、海中の乱流も収まっていました。

深度約300mに到達後、海中班は第三分隊との合流に成功しました。以降、これらの編成単位を総じてL5特別分隊と称します。

特別分隊は、YGT-012-Bの調査のため、さらに潜水していきました。深度500m程度の地点に到達したとき、YGT-012の影響で生成されたものと推定される未知の巨大な縦穴が発見されました。

特別分隊は縦穴内部を潜航していきました。この約10時間後、YGT-012-Bが初めて知覚されました。機密保持の目的の下、記録はここでYGT-012-L5-Bに分割されています。

機密指定
貴方がアクセスを試みている以下の情報はレベル4クリアランスを持つ人員にのみアクセスが許可されています。
資格認証のため、貴方はこれをもって既知の認識災害的画像に暴露される事に同意することとなります。
生体反応が検知されない場合、機動部隊保安要員が派遣され、貴方を蘇生した後に尋問のため留置房へ護送することになります。

資格認証

[保安用認識災害起動: 神経活動スキャン中]
Kanrisha.png
[…]
[…]
[…]
[意識が確認されました。ファイルを取得します。]
このファイルを閲覧する財団職員は、念のためYGT-012-A検疫措置を受けてください。
  • YGT-012-L5-B - 有人探査による発生源の知覚

YGT-012-Bは地球の内核として知覚されました。それはしばしば脈動するように振る舞った後、極まりなく巨大に膨張した周囲の感染者を海洋ごと引き寄せて、それを吸収、若しくはそれと"一体化"し、さらに高密になっていたとの報告があります。

特別分隊が撮影したYGT-012-Bの遠景。固体質かつ球形をしているのが見て取れる。

このことから、YGT-012の対策におけるYGT-012-Bの収容および破壊は不可能なものであることが判明したため、有効な外部存在対策は一部改定されました。

その後、特別分隊は浮上し、回収されました。記録はここで終了しています。

  • YGT-012-L5-C - 有人探査による発生源の知覚

財団機動部隊第三分隊と、第八分隊海中班からなるL5特別分隊(YGT-012-L5-B参照)が回収された後、YGT-012-Bの活動によって第三分隊から離脱してしまった潜水艦のうち1隻との通信が復活しました。

YGT-012-L5-Bの記録を当該艦へ送信すると、以下のような返答がありました。

何を言う、奴には認識改変能力が
あることを忘れたのか?それとも
その認識さえ歪められているのか
?少なくとも、あれは確実に地核
じゃない。あれは約三千キロも地
下にあるんだ、ほんの十時間でた
どり着けるわけがないだろう。こ
ちらからも奴の観測に成功してい
るが、断じて地核には見えない。
だが、いや、おかしい、こっちの
認識も狂わされているのか?あん
なものが深海にあるわけがないよ
うにだ![1]

その後、これから浮上するという旨の連絡が送信されてから再び通信が途切れ、当該艦は今現在も発見されていません。記録はここで終了しています。

  • YGT-012-L6 - 対策研究チームによる発生源の分析

この記録は統合済みです。

注釈:

  1. 1.0 1.1 1.2 通信機器の仕様上、15文字毎に強制改行が行われています。この改行が何かしら意図的に通信に利用されている可能性を鑑み、文字列は編集されていません。

関連ページ: