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その人口の九割を失った人類は、史上類を見ない絶滅危機に陥った。自然淘汰か、神のいたずらか。はたまた人間の狂気か。この事態を打開したものこそ、「サイを木っ端微塵にする者」、通称「サイコパス」であった。 | その人口の九割を失った人類は、史上類を見ない絶滅危機に陥った。自然淘汰か、神のいたずらか。はたまた人間の狂気か。この事態を打開したものこそ、「サイを木っ端微塵にする者」、通称「サイコパス」であった。 | ||
―――憎い。サイが憎い。親兄弟を惨殺し、地球の同志を大勢甚振ったサイが憎くてたまらない。彼らの怒りは、あるいはメサイアコンプレックスに縋らざるを得ないほどの精神の切迫は、サイ殺しを急加速させた。 | |||
サイの頭数は瞬く間に減少し、ついに彼らの遺伝子はこの世から消え去った。残された人類は文明を再建したが、このあまりの悲劇的記憶が無辜の子孫らに継承されることのないように、彼らはこの大戦を頑なに語らなかった。 | サイの頭数は瞬く間に減少し、ついに彼らの遺伝子はこの世から消え去った。残された人類は文明を再建したが、このあまりの悲劇的記憶が無辜の子孫らに継承されることのないように、彼らはこの大戦を頑なに語らなかった。 |
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