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 そして、このさびれたショッピングモールもまた、今日行われるサーカスの会場だった。
 そして、このさびれたショッピングモールもまた、今日行われるサーカスの会場だった。


 一階のフードコートの中央にはウッドデッキ調のステージが置かれており、そこから三つのフロアの中央を貫くように吹き抜けがある。どのフロアもテナントはまばらで、普段はほとんど廃墟のようにも見えるこの商業施設は、しかしサーカスの日だけは開業当初の熱気を取り戻した。観衆は各フロアの吹き抜けを囲う柵から身を乗り出し、思い思いに歓声や罵声を飛ばす。それはさながら古代ローマのコロッセオにも
 一階のフードコートの中央にはウッドデッキ調のステージが置かれており、そこから三つのフロアの中央を貫くように吹き抜けがある。どのフロアもテナントはまばらで、普段はほとんど廃墟のようにも見えるこの商業施設は、しかしサーカスの日だけは開業当初の熱気を取り戻した。観衆は各フロアの吹き抜けを囲う柵から身を乗り出し、思い思いに歓声や罵声を飛ばす。それはさながら古代ローマのコロッセオだ。ただし、彼らが見ていたのはステージではなく、吹き抜けの空間に出し抜けに立っているエスカレーターだった。
 
「俺は{{傍点|文章=三ターン}}に賭けるぜ!」
 
「いいや、やつの理性を買いかぶりすぎだろう! 俺は{{傍点|文章=二ターン}}に賭ける!」
 
 サーカスでは、こういう形の多くの見世物と同じように、もちろん客席の賭け事も盛んだ。ただし、このショッピングモールに限っては、賭けの対象は{{傍点|文章=勝者がどちらか}}ではなく、{{傍点|文章=この日捧げられた思想者が何ターンで殺されるか}}だった。――このショッピングモールの支配人にして、そこで開催されるサーカスの執行人をも勤める男は、もとは悪名を馳せたギャンブラーだった。もともとチャイニーズマフィアの下っ端として地下闘技場に現れた彼は、時に獰猛に、またある時には狡猾にふるまい、並み居る胡乱なやり手たちを退けて無敗の王座を手に入れたのだ。現役を引退した後も、彼の激しい{{傍点|文章=たち}}は変わらなかった。サーカスショーの中でも癇癪を起こし、たった数ターンのうちに思想者を殺してしまうのだ。その中華系のルーツと、熊のような巨躯、全身に入ったまだら模様の刺青、そしてその驚くべき勝負強さによって、彼はこう呼ばれるに至った――「<ruby>"大勝ち"のパンダ<rt>Panda the "Creamer"</rt></ruby>」。あるいはより親愛を込めて、「クリームパンダ」と。
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