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「俺様は黒の4だ。おっと、お前の真上だな。これはラッキーだ」
「俺様は黒の4だ。おっと、お前の真上だな。これはラッキーだ」


 スキップしながら階段を4段下った後、男は突然ズボンのポケットから二丁の銃を取り出し、こう言った。
 スキップしながら階段を4段下った後、クリームパンダは突然ズボンのポケットから二丁の銃を取り出し、真下の男をじっと見てこう言った。


「なあ、思想者よ、取引をしないか? 俺は銃を二丁持っているから、『駄段々』のルールのせいで階段を自由に動けないにもかかわらず、遠距離からお前を殺すことができる。だがお前は手ぶらだ。これじゃあ不公平だよな? 不公平なのは良くない。だから取引をしよう。」
「なあ、思想者よ、取引をしないか? 俺は銃を二丁持っているから、『駄段々』のルールのせいで階段を自由に動けないにもかかわらず、遠距離からお前を殺すことができる。だがお前は手ぶらだ。俺を殺すことが難しい。……これじゃあ不公平だよな? 不公平なのは良くない。だから取引をしよう。なあに、簡単な取引さ! もしお前の手札にQかKがあるのなら、それを全て俺によこしてくれ。お前のような思想者が『革命』を起こせるカードを持つなんて、危なっかしいったらありゃしないからな。そうしたら、俺は代わりにこの二丁の拳銃のうち一丁をお前にやる。どうだ? もちろん、銃は本物だ」
 
 そう言って、クリームパンダは二丁の銃を真上に向け、引き金を引いた。撃鉄の鋭い金属音と空気の振動が、観客席を沸かす。
 
「ほう。ずいぶんと優しいんだな。……分かった。取引に乗ろう」
 
 男はKを一枚、真上のクリームパンダに渡した。クリームパンダは得意の芝居がかった表情でそれを受け取り、拳銃を男に渡す。
 
「ああ、言うのを忘れていた。ただし一つの条件として、この取引でお前が嘘をついていたなら……直ちに殺す。つまり、お前の手札に俺に渡したK以外の『革命』を起こせるカードが残っていたならば、お前を射殺する! じゃあ、答え合わせの時間と行こうか」
 
 クリームパンダは、観客席にJKを見せびらかした。真下のプレイヤーにカードの効果を押し付けるルールによって、男の手札を開示するのだ。このとき、観客の誰もがこう思っていた――「1ターン」に賭けた者の勝利だ!
 
 ――なぜこの「賭け駄段々」が、勝者がどちらかについての賭けをしないのか。その答えは単純で、{{傍点|文章=これは出来レースだから}}だ。この「駄段々」のゲームの展開は、全てクリームパンダに仕組まれている。そもそも、「指や歯を手札にしたばば抜き」だとか、そういうほとんど残虐な刑に違わないようなサーカスが各地で行われている中で、このクリームパンダの「賭け駄段々」だけがただの「殺されるかもしれないゲーム」だなんていう{{傍点|文章=うまい話}}はないに決まっている。これはゲームの形を借りた単なる殺人ショーなのだ。これを可能にするのが、{{傍点|文章=手札の操作}}であった。クリームパンダに配られる手札、そして思想者に配られるカードは、いつも事前に決められていた。クリームパンダの手札は、「K、Q、JK、黒の4、赤の10、赤の9」。そして思想者の手札は、「K、Q、黒の5が二枚、赤のJが二枚、赤の10が一枚」だ。これによって作られる最初の見せ場が、この「取引」だった。
 
 思想者の手札の中で使える「数字カード」は、実質的に二枚の黒の5だけだ。赤のJや赤の10は、思想者がどの段にいようとも――ゲーム開始時の1段目、黒の5を使ったときの5段目、二枚目の黒の5を使ったときの10段目――かならず階段を上りきってしまう。だから、一ターン目には必ず黒の5を使う。そこに、黒の4を使ったクリームパンダがやって来て、「取引」を持ちかける。このゲームにひょっとすると勝てるかもしれないと思っている傲慢な思想者は、この取引を持ち掛けられたとき、強力な効果である「革命」を手札に残そうとして、Kを一枚しか渡さない。
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