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{{注意|内容='''この物語はフィクションです。実在の個人・団体とは一切関係ありません。'''}}
2021年8月30日(この頃にはまだグレゴリオ暦が主に使われていた)、<ruby>阿戸未弐巣斗零太<rt>あどみにすとれいた</rt></ruby>は困惑していた。同級生の<ruby>噛倉鱗<rt>かむくらりん</rt></ruby>から奇妙な[[LINEのユーザー名変更|LINE]]が来たからである。その文面は、簡潔な一言だった。
<blockquote>ボトルネックってなんすか?</blockquote>
零太と鱗は同じ中学校の3年生だが、同じクラスになったことはない。だからあまり親しいわけではなく、LINEでのやり取りもこれがたったの2回目だった。だからこそ、不思議なのであった。零太には鱗の意図が全く読めなかったのだ。とりあえず、中毒者とこの奇妙な出来事を共有するか、と零太は思った。


中毒者とは、零太が作ったコミュニティ、「PediaPedia」のメンバーのことで、侮蔑の意味は含まれない。PediaPediaは零太が創り出したサイトで、中毒者どもはそこで好き勝手やっている。そして零太は管理者として彼らの頂点に君臨しているのだった。ちなみに鱗も中毒者だったが、ほぼ活動せずに抜けてしまった。
零太は件のメッセージのスクリーンショットを、中毒者のLINEグループ「pediapedia同好会」に送信した。「???」というメッセージも添えて。一体私はなんと返信したらいいのだろう? 中毒者たちはたちまち沸き立ち、様々な考察が飛び交った。そんな中、1人の中毒者がこんなメッセージを送信してきた。
「これは日常の謎だ。クリスチアナ・ハメット氏の行動の動機を論理的に解明してみようじゃないか!」
この発言をしたのは、<ruby>海畑卑貌<rt>うみはたひぼう</rt></ruby>だ。推理小説が好きな、頭のおかしい奴である。あ、クリスチアナ・ハメットというのは、鱗のLINEのユーザー名だ。海外作家へのリスペクトが込められているのではないかとまことしやかに噂されている。海畑はさらにメッセージを送ってきた。
「この文面を見て、普通思うのは、ハメット氏は管理者様に『ボトルネック』という言葉の意味を尋ねているのではないかということだ。しかし、ここで大きな壁が立ち塞がる。わざわざ管理者様にLINEで聞くことの必然性だ。2人の過去の会話が体育の事務連絡だけなことから、2人はとても親しいというわけではないことがわかる。第一、言葉の意味が気になるならネットで調べればいい話だ。<br>このことから、'''ハメット氏は『ボトルネック』という言葉の意味を知りたかったわけではない'''ということがわかる。」
零太は面食らった。言葉の意味を聞く以上の含意があったということだろうか? すると次の文章が来た。
「なら、あの文章に言葉の意味を尋ねる以外の意味があったということになる。それは何か。あのメッセージには3つの要素が含まれていると僕は思う。『LINEメッセージであること』『管理者様に向けたものであること』『文面』の3つだ。でも3つ目に意味はないことはさっきも述べた。ということで、前2つに鱗の意図は隠されているんだ。」
話の終着点がわからなくなってきた。川畑の演説はなおも続いた。
「1つ目が持つ意味の候補は、おそらく2つだろう。『緊急を要する』もしくは『面と向かっては言えない』のどちらかだ。しかし、管理者様に急いで何かメッセージを送って解決することがあるとは思えない。つまり、正解は後者なんだ。'''鱗はこのことを面と向かっては言いたくなかった'''」
後者も大概だろ、と零太は思った。それとも川畑には何か考えがあるのだろうか?
「ここで2つ目の要素が持つ意味について考えよう。これは明確に、'''零太に何かしらを言いたかった'''んだ。そして、文面に意味がないことはさっきも言った通りだ。まとめると、'''鱗は面と向かわず、零太に何かを言いたかった'''ということだ。これが指すことは1つ」
一体それは?
「'''ハメット氏は、管理者様にお近づきになりたいんだ!'''」
なんだって?! 零太は深く驚いた。
「面と向かって言えないのは、恥ずかしさゆえ。この前せっかくダンスで同じ班になったのに、あまり親しくなれなかった。しかしどうにかして距離を縮めたい。そこで鱗は、苦慮した挙げ句、LINEで会話しようとしたんだ。人間関係は会話から広がると言っても[[過言ではない]]。勇気を振り絞って何か話したいと思ったんだ。話題が些か奇抜になったのは彼の不器用さゆえ。この一文には、ハメット氏の苦悩と純情が籠もっているんだ!」
そうだったのか! にわかには信じがたいが、こう考えれば辻褄が合うのは事実だ。
「では、どう返信すればいいのか? 管理者様の素直な気持ちを伝えればいいんだ!」
川畑はこう締めくくった。零太はしばらく文面を思惟したのち、鱗にこうメッセージを送信した。
「私は異性愛者なんだ。だから友達として仲良くしていければいいと思う。よろしく」
送信してまもなく既読が付いた。そして彼からは簡潔な一言が返ってきた。
<blockquote>は?</blockquote>
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