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多くの作品は抽象画である(創始者の伊藤しえるは稀に合成画像として発表することもある)。 また、大体のケースにおいて題材は架空の生物であるが、外見はおぞましさとどこか憎めないボディを兼ね備えてている。更に特筆すべきはその生物には人間の手が多数、生えていることである。これらの手は、ピロリ派の崇拝するピロリ菌を模しているものと思われる。しかしここで短絡的にそれを唯一の理由としてはいけない。何故ならば新興ピロリ派という派閥が目標としているのは「如何に美しい作品にするか」ではなく「如何におぞましさと健気さを演出するか」に重きが置かれているからである。そのため、「ただグロく見せたい」というためだけに《手を加えた》という可能性もありうるのである。 しかし著者はもうひとつの理由があると推測する。
騙されないためには、己の良識を信じなさい。
-小林一三億一三
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主に、高校の問題の事である。中学校の問題でもあるとされている。ここに例を挙げておく。
- 同じ時間に家を出ない兄弟
- 同じ水槽に水を注ぐ二つの蛇口
- ただ公園をぐるぐる回るだけの人
- 傾いたコップの中の水
「ねえ小島さん、叙述トリックって知ってます?」
「急になんだよタケ。まあ知ってるけどさ」
冬の早朝6時15分、僕はいつもより少し早く目覚めてしまい、同じく起きていた小島さんにこの質問をぶつけたのだった。小島さんは35歳くらいで、彫りの深い顔に髭が似合うダンディな人だ。
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「こないだ読んだ本にあって。ミステリーあたりはからっきしなんですよ」
僕はしばらく前にトラブルを起こして大学を退学になり、今は男4人で同居している。ルームシェアだと思えばましだけど……誰が進んで野郎共と一つ屋根の下で住むものか。4人というのは、僕と小島さん、そして京極さんと三津田さん。皆僕より年上だ。あとの2人はまだぐっすり寝こけている。部屋はいささか肌寒い。
「はっ、マジかよ」
小島さんは鼻で笑った。お前がかよ、と顔が語っている。
「こういうの好きだったでしょう? 教えてくださいよ」
時々小島さんが本を読んでいるのを見るが、大体推理小説なのだ。どうやらそういう系統の新人賞に応募したこともあるらしい。
「わかったよ。丁度叙述トリックについての昔話があってな、聞かせてやるよ。ただし、手を動かしながらだ」
見ると、京極さんと三津田さんがもぞもぞと起き出していた。2人とももう、おじさんというよりおじいさんといった方がしっくりくる歳だ。京極さんは身長が低くて小太り、三津田さんは対照的にのっぽで痩せぎすな体型をしている。話し方も、三津田さんは三回りほど年下の僕にも丁寧語を使うが、京極さんはゴリゴリの関西弁で、対照的だ。
「おはようございます」
「なんやふたりとも偉う起きるんが早いなあ」
いつも同じ時間に起きていると、アラームなぞ無くとも自然と目が覚めてしまうものだ。僕は変わり映えのしない一日の到来に溜め息を吐くと、布団を畳むために立ち上がった。
「あれは俺が小6になりたての4月の出来事だった」
そう小島さんは話し始めた。
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