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選り抜き記事

租唖

よお、暫くぶりじゃのう。儂は消滅の悪魔、悪魔があやつに喰われ、その根源となるもの諸共消滅してしまうことへの恐れから生まれた悪魔じゃ。判り切ったことじゃが、一応もう一度説明しておこう。 悪魔は、恐怖心から生まれる。そして、それぞれの悪魔には対応するものがある。ゾンビ、永遠、銃…。対応するものがより強い恐怖を集めるほど、その悪魔は強力になる。 さて、儂に対応するものは消滅じゃ。但し、先に言った狭義の消滅。儂は悪魔の消滅に対する恐怖を糧として生きておる。人間はそもそも消滅という現象に気付いておるかも判らん。それはさておき、儂には消滅への恐怖と共に、消滅していく悪魔の記憶までも流れてくるんじゃ。消滅の瞬間が最も、それへの恐怖が強くなるから当然のことかもしれんのお。 ならばその記憶とは何か。種々雑多なものだが、それにはその悪魔に対応するものが集めた恐怖も含まれておる。例えば、比尾山大噴火の悪魔が消滅したときには、人々の比尾山大噴火への恐怖が儂の中に流れ込んできた。 しかし、ほぼ全ての生物は消滅したものを覚えておらん。抑も、それが「消滅」という現象じゃからの。つまり、儂は消滅した物事を憶えておる唯一の存在という訳じゃ。断片でなく全容すらも記憶しておるのは、儂しか居らんのではないかの。まあ世界中探し回った訳じゃあないから判らんがの。 さて、すっかり前置きが長くなってしまったのう。儂の悪い癖じゃ。ほいじゃあ今日は、嘗て日本を揺るがした大病、租唖について話していくぞ。

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ビタ眠剤

個野この作品さくひん第一回ん代五種弐詞世宇利史田にしょうりした作品さくひん
管理者かんりしゃ画位宇野駄化羅真血画位名位がいうのだからまちがいない個野この作品さくひん尾差羅二をさらに秀逸しゅういつ二出希流戸位宇野名羅にできるというのなら編集へんしゅう氏手未背名差位してみせなさい
和田氏派亜名田他血野個戸尾未手位流わたしはあなたたちのことをみている
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「ここか……事件が起きているのは。警察ももうすぐ来るだろうが……少し様子を見ておくか」


*        *        *

*        *        *


「……で、男の他殺体からは睡眠薬が検出されたと」

「そうだ、探偵さん。医師の私が言うからには間違いないよ」

「まあ、何というか、明らかにこのビンが怪しいよな……ラベルは貼られていないようだが……ん?」

「被害者の死体が気になりますか? このお客様は、今日のパーティーの為に当館にやって来たのです。死んでしまって残念です。不潔ですし、お片付けした方がよろしいでしょうか?」

「あー、ここのメイド長か。いや、その必要はない。それより、これ……ダイイングメッセージじゃないか?」

「確かに、文字にも見えるなア。えーとどれどれ、『ビタ眠剤』……? なるほど! 犯人は、ビタ眠剤という者なのかア!」

「ちょっとアナタ、しっかりしなさいよ。こんな素っ頓狂な声出して、館の、館の主人としてぇ、恥ずかしいわもう恥ずかしくないの? アッハハ」

「そうだぞ親父。このパーティーの参加者にそんな名前の奴いない。ほら見ろ、これが今館にいる全員のリスト。赤ペンは俺の書き込みだ」

パーティーの流れ
本番 被害者 館の主人 館の妻 御曹司(自分) メイド長 医者 不法侵入YouTuber 女スパイ伊織さんは、こいつには何をしてもいいって言っていたけど、だれ? 岸田総理 天草四郎時貞
☆事件発生後追加→探偵(伊織さんが、電話で誘い出すように言っていたごめんなさい)

さらに後でる?→警察(電話した!来るまでぜったいばれないようにする!)

「えー、つまり、おそらく他殺体から検出された睡眠薬というのは、この『ビタ眠剤』とやらのことなんだろう。そしてこれは十中八九……この、謎のビンの中の錠剤だろうな」

「いや、それにはさらなる検討を重ねる必要があると思われるが……」

「Jesus! What the hell boy, I just wanna have a golden CHRISTIAN HEART you know?」

「飲んでみるか……飲んでみたらこれが睡眠薬かどうかわかるしな。最良の方法にちがいない」

「テラワロスwwwwwwwwwwwwこいつなんと、謎のボロアパートに今潜入してカメラ回していっているのですが、見るからの怪しげっぽい錠剤を呑み込んでますwwwwwこれは期待できるぞwwwwwww」

「ま゙ってえ゙ぇ……ぜっ゙っ゙だい、のん゙じゃ、だ、め゙、ぇ゙」

「おいッ! 女スパイ! うるさいぞオ! 今何時だと思ってるんだア!」

「ちょっとアナタ、アナタたら、アナタったら本当にもう、伊織さんも呆れてるじゃないのよお、アッハハ」

「母さん、でも、伊織さんの表情はガスマスクで覆われていて見えないよ。親父も、女の人を蹴るのはやめたほうがいいよ」

「あら、ホント、すみませんねうっちの、ウチュ、ウチの子ったらおべっかでホントにアッハハハ」


*        *        *


「んん……どうなってる? 『ビタ眠剤』を飲んで、い、意識が飛んでいた……ここは? 夢? 夢か? 雪山?」

「そうだ、探偵さん。医師の私が言うからには間違いないよ」

「雪山? 確かにここは寒いですね。暖房をお付けいたしましょうか? ストーブをお付けいたしましょうか? 電子レンジは流石に耐えられませんよね? オーブンもありますけど耐えられませんよね?」

「アアおっかねえおっかねえ、寒いよもう手足なんかイモ焼けしそうだなア」

「アナタ、いもうあ、ヒ、芋焼けじゃなくてしも焼けでへ、でし、でしょうがアハハハ」

「親父、確かに雪山ってのは寒いところだな」

「FUCKING COLD!!!」

「あのう、日本国民の皆さん。今、この雪に閉ざされた館のドアを、誰かがノックしているように聞こえたのですが、それにつきましてはどのように検討していくか、会議を開くべきです」

「チャンネル登録よろしくお願いします!グッドボタンと、チャンネル登録!通知ON!今回の、病、狂った医者の噂の真相とは……お楽しみいただけます!グッドボタンと、チャンネル登録!通知ON!」

「おいおい、来客がいるんならアよ、俺が出迎えてやらねえと、よっと、つってて」

「アナタいい加減にしらさいよ! ただでさえ物資がすふないのに、あららしい人をいれるわけにはいかないわ! わら、わ、わらひたちが、こおえて死んでしまう!」

「もう少しの、もう少しの辛抱で、きっこ、きっと寒くないから……親父、母さん、もう少しだ」

「ん゙ん゙ううううううう ごぁ゙ あ゙っ」

「伊織さん、女スアイ用のこほ率的な拷問用くはあちらにあったはうですよ。ああ、そうですか。なうほど。すいません、差しえがましい真似を。盲もう的なおお率主義にとらわれておりました。盲もうには灯りをつけたほうがいいかもしれませんえした」

「ああ! ドアが壊あれた! 誰あが侵入してきたぞ!」

「そうあ、探偵さん。医ひの私が言うからには間違いあいよ」


*        *        *


「警察だ! 伊織海斗! 直ちに武器を捨てて投降……うっ!」

「あああああ、はっ、あっ、こあおア、ころあえああえ!」

「あ、アナ、アナタ、ひ織さんはひか、い、二階にいえ、にえ、に、にぎいいい、ぎいぎ、いぎぎい、ぎいい」

「たあ、たす、たあ! あっ、こ、ここ! だああ、あっ、あ!」

「……お゙があざあ ごえん」

「い、いあぎ、あ、お、あおいろ、青白い、おぐ、おお、おおきい、大きい目え、目で、はだ、肌あおぎおくて」


*        *        *

「速報です。元医師の伊織海斗容疑者が、殺人罪で現行犯逮捕されました。男は郊外に所有する一軒家の中に少なくとも男女累計32人以上を誘拐・監禁し、違法な薬物の実験を行っていたところを、通報によって向かった警察に逮捕されたようです。監禁され死亡した被害者の中には、警察の女性潜入捜査官もいたそうです」

「これは恐ろしい事件ですねえ。なぜ警察は早くに捜査に踏み込めなかったのか……」

「どうやら、容疑者の男は薬物によって被害者たちを洗脳のような状態にしたうえで監禁していたそうですね。ところが、男が被害者のひとりであるAさんに、近くで探偵事務所を営んでいた男性を電話で誘い出すよう指示した際、密かにAさんがこの事態を警察に通報したことで、事件が発覚したそうです」

「洗脳……それは恐ろしい」

「まだ情報が錯綜しているのですが、どうやら男は自身で作製した精神作用に働きかける薬物を日常的に被害者らに投与したうえ、被害者らをいくつかの『グループ』に分けて不気味な『ロールプレイ』を行わせ、その様々な反応を観察していたといいます。そして、一定期間の実験を済ませた後は、新しく開発した薬物の作用を確かめるための実験台として、『パーティ』と偽って『グループ』ごとまとめて殺害していたということです。今回警察にこの事態を通報した被害者の男性は、痛ましいことに亡くなってしまいましたが、おそらくこの最後の実験を予期していたのでしょう。男がなぜ接点のない探偵事務所の男性を、それもわざわざ被害者の一人に、しかも証拠の残る電話で誘い出させようとしたのかは依然不明ですが、ある精神分析家の主張によれば、これは『ロールプレイ』への異常な偏執によるものだといいます。実際、この時に行われていたロールプレイは『殺人事件』だったそうで、猟奇的にも男は『被害者役』の被害者を、やはり実際に殺害していたのだということです」

「その探偵事務所の男性はどうなったんですか?」

「彼も、警察に通報した後、自分でもその家に向かったらしいのですが、男に薬物で殺されてしまったそうです。容疑者の男は、自身は常にガスマスクをしたうえで、家中に気体状の神経に作用する薬物を散布していたらしく、この男性もその薬物に暴露して倒れていたところを捕まってしまった後、通報した男性と同じ『グループ』に入れられ、この薬物を摂取するように仕向けられたとみられています。このガスによって、最初に突入した警察官の中にも死傷者が出たということです。なぜこのような凶悪犯罪を犯したのか、その動機については、容疑者は未だ口を閉ざしたままです」

「これは大事件ですよ。令和最大の猟奇的事件だ。徹底的に、社会全体でこういう犯罪を議論していく必要がある」

「容疑者の男は、取調室でもしきりに『死眠剤』という薬物の威力を気にしているようです。おそらく、これが今回公にされた薬物大量殺人事件に用いられた薬物なのでしょう」

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