「利用者:キュアラプラプ/サンドボックス/丁」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
103行目: 103行目:
そう言って、卦伊佐は手早く検分を終わらせた。
そう言って、卦伊佐は手早く検分を終わらせた。


「死因は外傷による心破裂。被害者はナイフを持った犯人を前に抵抗したものの、心臓を一突き、即死だ。指紋はどこにもついていないから、手袋でも使ったんだろう。死後硬直が始まっているが、まだピークには達していない、死亡したのは十九日の8~10時あたりだろうな。」
「死因は外傷による心破裂。被害者はナイフを持った犯人を前に抵抗したものの、心臓を一突き、即死だ。指紋はどこにもついていないから、手袋でも使ったんだろう。死後硬直が始まっているが、まだピークには達していない、死亡したのは十九日の午後、八~十時あたりだろうな。」


「……ところでさっきの話だが、この部屋に来る順番というのは?」
「……ところでさっきの話だが、この部屋に来る順番というのは?」
131行目: 131行目:
「……もしもしー? 聞こえてます? いやーちょっと、諦めてダイニングルームに帰ってるじゃないですか! マジで希望がないんですよこっちは! 早く僕を見つけて!!」
「……もしもしー? 聞こえてます? いやーちょっと、諦めてダイニングルームに帰ってるじゃないですか! マジで希望がないんですよこっちは! 早く僕を見つけて!!」


「えー、まあ、そういうわけで、各自書斎に行ったときのこと、特に時間や部屋の状態を、覚えているだけ精細に話してほしい。」
「えー、まあ、そういうわけで、各自書斎に行ったときのこと、特に{{傍点|文章=その時間}}や{{傍点|文章=部屋の状態}}を、覚えているだけ精細に話してほしい。」


「……ちょっと! 無視しないで!」
「……ちょっと! 無視しないで!」
145行目: 145行目:
「よし、反応は出なかったな、じゃあ次は弟さんの方から。」
「よし、反応は出なかったな、じゃあ次は弟さんの方から。」


「うい。えー、俺はまあ、母の話をしたよ。そろそろ認知症がやばいから、施設に預けたほうがいいかもしれないってな。飲み物は俺もコーヒーだったぜ。時間は知らない。俺はそういうの気にしないタイプなんだ。状態……うーん、流しは見てなかったけど、律が洗ったらしいマグカップを拭いてたのは覚えてる。あーあと、コーヒーマシーンのスイッチを切ってたから、少なくとも次出される飲み物はコーヒーじゃないだろう。こんなとこかな。」
「うい。えー、俺はまあ、母の話をしたよ。そろそろ認知症がやばいから、施設に預けたほうがいいかもしれないってな。飲み物は俺もコーヒーだったぜ。時間は知らん。俺はそういうの気にしないタイプなんでな。状態……うーん、流しは見てなかったけど、律が洗ったらしいマグカップを拭いてたのは覚えてる。あーあと、コーヒーマシーンのスイッチを切ってたから、少なくとも次出される飲み物はコーヒーじゃないだろう。こんなとこかな。」


「よし、これも無反応。じゃあ続いてそっちの……亜奈貴さんだっけ?」
「よし、これも無反応。じゃあ続いてそっちの……亜奈貴さんだっけ?」
155行目: 155行目:
「おっと、あんた大丈夫か? なあに、誤作動ってこともあるからな。どうなんだ?」
「おっと、あんた大丈夫か? なあに、誤作動ってこともあるからな。どうなんだ?」


「ぐ……あー、正直に言うと、世哉の誕生日のサプライズパーティーの相談に行ってたの。今の今で台無しになったけどね。私刑にしてやうろかてめえら。」
「ぐ……あー、正直に言うと、世哉の誕生日のサプライズパーティーの相談に行ってたの。……今の今で台無しになったけどね。私刑にしてやうろかてめえら。」


「亜奈貴……うう……。」
「亜奈貴……うう……。」
161行目: 161行目:
世哉の目は潤い、卦伊佐をはじめ他の人たちはめっちゃ気まずくなった。橘地でさえもがあまりの気まずさに耐え兼ね、ブリッジを解除してトリプルアクセルした。
世哉の目は潤い、卦伊佐をはじめ他の人たちはめっちゃ気まずくなった。橘地でさえもがあまりの気まずさに耐え兼ね、ブリッジを解除してトリプルアクセルした。


「……まあ、その話は今は良いわ。とにかくそれで書斎に行ったの。飲み物はミルクだったわ。あ、そうそう、確かに私も、部屋に入る前に廊下にいる記者の人を見たわ。」
「……まあ、その話は今は良いわ。とにかくそれで書斎に行ったの。時間は……確か九時頃だったかしら。飲み物はミルクだったわ。あ、そうそう、確かに私も、部屋に入る前に廊下にいる記者の人を見たわ。」


「なるほど。あー。うん。なるほどね。うん。じゃあ次は宇曾都さん。」
「なるほど。あー。うん。なるほどね。うん。じゃあ次は宇曾都さん。」
173行目: 173行目:
しかしこの時、怒りのあまりウソ発見器を破壊した卦伊佐が放った殺気は、宇曾都のいたずら心をへし折ってしまった。卦伊佐は彼にウソ発見器よりも大きな恐怖を与えたのである。23世紀に入って人間の行動が科学技術のもたらした機能を超克したのは、これが初めてのことであった。
しかしこの時、怒りのあまりウソ発見器を破壊した卦伊佐が放った殺気は、宇曾都のいたずら心をへし折ってしまった。卦伊佐は彼にウソ発見器よりも大きな恐怖を与えたのである。23世紀に入って人間の行動が科学技術のもたらした機能を超克したのは、これが初めてのことであった。


「はい……あの……はい……まあうまい事騙して金をむしり取ってやろうとしてました……飲み物はコーヒーっした……あと……はい……俺の時も律家さんはマグカップを拭いてました……はい……。」
「はい……あの……はい……まあうまい事騙して金をむしり取ってやろうとしてました……時間……曖昧だけどまあ……十時前くらいでしたかね……飲み物はコーヒーっした……あと……はい……俺の時も律家さんはマグカップを拭いてました……はい……。」


「よし。あー、じゃあ次は奥さんで。ウソ発見器の予備はちゃんとあるのでご安心を。」
「よし。あー、じゃあ次は奥さんで。ウソ発見器の予備はちゃんとあるのでご安心を。」
8,864

回編集

案内メニュー