446
回編集
Mapilaplap (トーク | 投稿記録) 編集の要約なし |
Mapilaplap (トーク | 投稿記録) 編集の要約なし |
||
85行目: | 85行目: | ||
<br> 凭れるような音色の中に、儚い優しさが潜む。鯵の群れは一つの意志を持ったの筋肉のように収縮する。まるで澪の演奏に合わせて幾千もの鯵が踊っている、そんな感覚を颯は覚えた。 | <br> 凭れるような音色の中に、儚い優しさが潜む。鯵の群れは一つの意志を持ったの筋肉のように収縮する。まるで澪の演奏に合わせて幾千もの鯵が踊っている、そんな感覚を颯は覚えた。 | ||
<br> やがて曲は終局に差し掛かり、だんだんと鯵は掃けて行く。水に歪められた月光が、白と黒の鍵盤に不思議な模様を映し出す。澪の指はその上を軽やかに滑る。 | <br> やがて曲は終局に差し掛かり、だんだんと鯵は掃けて行く。水に歪められた月光が、白と黒の鍵盤に不思議な模様を映し出す。澪の指はその上を軽やかに滑る。 | ||
<br> | <br> 鯵が一匹残らずいなくなった頃に、澪は演奏を終えて目を開けた。するとそこには音楽室に入った時にいたリュウグウノツカイは姿を消しており、代わりに途轍もなく大きい、綺麗な錦鯉が微笑んでいた。 | ||
<br>「素晴らしい演奏だ。とても腕を上げたんだね……。どうもありがとう」 | <br>「素晴らしい演奏だ。とても腕を上げたんだね……。どうもありがとう」 | ||
<br> 鯉は心が震えるような声をしている。 | <br> 鯉は心が震えるような声をしている。 |
回編集