「利用者:Notorious/サンドボックス/ピカチュウプロジェクト」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
77行目: 77行目:


 怖かった。きのうあの投稿を見てから、学校に行くのが怖くて仕方なかった。投稿したら机に落書きがされてるんじゃないか、みんなが私を無視するようになってるんじゃないか、そんな自意識過剰な悪い妄想ばかり膨らんだ。でも、行かなかったら二度と学校に行けなくなる気がしたし、親になんと言い訳すればいいかもわからなかったから、登校するしかなかった。
 怖かった。きのうあの投稿を見てから、学校に行くのが怖くて仕方なかった。投稿したら机に落書きがされてるんじゃないか、みんなが私を無視するようになってるんじゃないか、そんな自意識過剰な悪い妄想ばかり膨らんだ。でも、行かなかったら二度と学校に行けなくなる気がしたし、親になんと言い訳すればいいかもわからなかったから、登校するしかなかった。
<br> 誰にも声をかけられることなく教室に入ると、幸い机はいつも通りだしあからさまに冷笑されるようなこともなかった。けれど、それが逆に応えた。いつもと変わらずおしゃべりしている男子たちだけど、おどけて動き回っている栗原くんも、口元に手を当てて静かに笑っている岸田くんも、裏では私に文句を言っていたのだ。男子だけじゃなく、大村さんと枚方さんもだ。誰かわからないアカウントもいくつかある。
<br> 英語の教科書を手に立ち尽くしている今、その判断を心から後悔している。
<br> 教室ではそんな素振りはちらとも見せていないのに、多くの人が実は私を疎ましく思っている。おおっぴらに嫌ってくれた方がまだよかったようにすら感じる。
<br> 登校しても、机は無事だし誰からも罵倒されたりもしなかった。けれど、それが逆に恐ろしかった。教室ではそんな素振りはちらとも見せていないのに、心中では私を疎ましく思っている人が何人もいる。わがままだが、おおっぴらに嫌ってくれた方がまだよかったようにすら感じる。
<br> 私が彼らの投稿を見るようになってから半年ほど経つが、彼らがクラスの誰かを悪く言うことなんて何度もあった。気心の知れた友達しかいない場だからか、遠慮もなく不満や愚痴をぶちまける投稿も少なくはない。私自身、それを垣間見て楽しんでいた節もあった。寺田くんの喋り方ちょっと粘着質だよね、とか、林さんそんなことするんだあ、とか。それが、自分が標的になった途端、こうだ。ためらいなく罵倒される恐ろしさを、私は全然理解していなかった。
<br> 
2,077

回編集

案内メニュー